2017/01/25

2016年に読んだ本私的第5位

年間100冊はミステリィを読みたいと思っているのですが、なかなかそうもいかず、昨年も約50冊ほどにとどまってしまいました。しかし、(2015年に読んだ本ベスト5)でせっかく私的ランキングを始めたので、今年度も敢行したいと思います。繰り返しになりますが、新刊の単行本はほとんど読まないし、気長に文庫化を三年待つ、いや、某大型古書店に流れて値崩れするのを待つ、というのがふだんの私です。ですから、今更感満載のしょぼいランキングになるのは目に見えているのですが、そこはなんとかご容赦いただきたくお願い申し上げるしだいです。

第5位 深水黎一郎 テンペスタ 最後の七日間 (幻冬舎文庫)

一昨年、私の必読作家の仲間入りを果たし、「ジークフリートの剣」が堂々の第一位を獲得した深水黎一郎氏です。私にしては珍しく「ミステリー・アリーナ」は文庫化を待たずに買ったし、今年文庫化された3冊もすぐに買って読みました。

この中では、客観的にはやはり「ミステリー・アリーナ」がオススメで、エンターテイメント性に過ぎるほどおもしろいです。「大癋見警部の事件簿」もかなり笑えます。一方、「美人薄命」は著者の(本来の)高い文学性を伺わせる美しい作品。

さて、私が選んだのは「テンペスタ 最後の七日間」、めちゃくちゃおもしろいかと問われればそうでもない、めちゃくちゃ文学性が高いかというとそうでもない、この中では一番中途半端かもしれないこの作品が、なぜか一番印象に残りました。――元々はテンペスタ~天然がぶり寄り娘と正義の七日間~という作品です。著者はなぜか文庫化の際の改題がとても多い。

主人公は江戸時代の処刑場について造詣が深い小学校五年生の少女ミドリ(この設定だけでもリアリティに無理がありますが……)と、伯父の賢一のペアです。私は最初、ミステリィかと思って読み始めたのですが、いつまでたっても事件らしい事件が起きず、変だなあと思いながら読み進めました。処刑場跡など著者お得意の古典的な薀蓄を織り交ぜながら、一週間にわたる伯父と姪の心の交流を描いた、ほのぼのとしたドタバタコメディ、といった趣きです。――そういえば芸術探偵シリーズも伯父(海埜警部補)と甥(神泉寺瞬一郎)の関係ですね。ひょっとすると深水さんは子どもがいないのだろうか?

さてところが、(この先、多少ネタバレになりますが)物語は最後の七日目、突然雰囲気ががらりと変わり、捉えようによってはなんとも後味が悪いとも言える意外な結末を迎え、読者をびっくりさせます。

長編小説では、特にミステリィの場合は、読者を飽きさせずに最後まで引っ張っていくため、途中にいくつかの山場や謎、伏線と思える場面などを綿密な計算のもとに設けるのが普通だと思います。ところがこの作品は、山場らしい山場もなく、すっかりほのぼの小説だと思わせておいて、最後に読者を突き落とす。

めちゃくちゃ面白かったわけでもなく、むしろモヤモヤの残る、どちらかといえば腹立たしい結末に唖然とするとともに、なぜこうした?という疑問しか残らないのですが、それがかえって強く印象に残る結果となりました。

ひょっとすると、このキャラがたったコンビ、今後は小学生名探偵ミドリとワトソン役の伯父として登場し、新たなミステリィ・シリーズとなっていくのではないか? そう思いました(たぶん、ないと思うけど)。

とりあえず本日は第5位だけ。続きは後日。これ、完結できるかな。一年かかったりして。

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2016/12/30

墓銘録

今年は私の思い入れのある音楽家が亡くなるたび、急遽即席で絵を描いてツイッターにアップする、ということをやっていたので、ボツ作品も含めてここにまとめておきます。なお、絵を描く際には「スミルノフ教授が仮装している」という条件を自分に課しました。

今年は洋楽の大物が相次いで亡くなったと世間では思われていますが、ロック・スターと詩人の寿命が27歳であった時代はとっくに終わっています。ロック・スターたちも普通に健康管理し、普通に年老いるようになりました(ちなみにわたしゃ「詩人」なんて聞くと今じゃ真っ先に爺さんの顔が思い浮かぶぞ)。そして多くのかつての大物ロック・スターたちが高齢を迎えて亡くなる年代に差し掛かっている、ただそれだけのことのような気もします。

2016.01.10 デヴィッド・ボウイ

デヴィッド・ボウイ

絵を描くきっかけはデヴィッド・ボウイでした。しかし、この絵にはデヴィッド・ボウイの面影は少しもありません。ただただスミルノフ教授が、1977年のアルバム「Heroes」のジャケットのポーズをとっているだけです。ツイッターには、なんのコメントもなしに、この絵だけをアップしたので、なんのことかわからなかった方も大勢いらっしゃったようです。

冒頭で「私の思い入れのある音楽家」と書いておきながら申し訳ないのですが、私自身はあまりデヴィッド・ボウイに思い入れはなく、今でもよくわからないというのが正直なところですが、多くの追悼特集番組を見て、今さらながらその偉大さに感銘を受けたところです。

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2016/09/28

タイムトラベルノフ教授

日ハム優勝

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2016/04/22

Formerly

プリンス

「Formerly」という言葉を聞くと僕はポール・マーリー教授(仮名)のことを思い出す。

何年も前の冬の話だ。有名なポール・マーリー教授は、日本なんちゃら学会に招かれて東京だかどっかだかで講演するため来日することになった。そのとき、夏もオーストラリアへ遠征するほどスキー好きだった教授は、かつての教え子が北海道にいることを思い出した。

「今度日本へ行くことになった。講演が終わったあとニセコというところへ行ってみたいので連れていってくれ」

僕はしかたなく愛車を運転して千歳空港まで教授を迎えに行った。教授は僕の車をちらっと横見すると「教授のお迎えっていったら普通は黒塗りのラグジュアリーセダンだろ」とでも言いたげな不服そうな態度はこれっぽっちも見せず、有名な教授にふさわしい実に堂々とした態度で、クレイジーな赤塗りのとても窮屈なフランス大衆車に乗り込んだ(「クレイジーな赤塗りのとても窮屈なフランス大衆車」とは、それから何年後かに聞いた僕の愛車に対する教授の印象である)。

その夜はあいにくの大雪で、吹雪いて視界も悪かった。北海道の冬に慣れていない僕の愛車は途中で何度も立往生した。僕も運転が得意ではなかったので、路肩がわからなくなって何度もノロノロした。

それでも助手席のポール・マーリー教授は、笑顔にひきつりなどこれっぽっちも見せず、有名な教授にふさわしい実に堂々とした態度で、思い出話に花を咲かせていた。

だがしかし、知ってる人は知ってると思うけど、北海道のドライバーは天候に左右されないスピード狂である。

うしろの大型トラックがいらいらして車間をつめてくる。対向車がいるのかどうかさえよく見えないのに、大型トラックはぜんぜん平気で、ものすごい轟音とともに100キロぐらいの猛スピードで僕を追い越していく。そしてトラックの巻き上げる雪でさらに視界が悪くなり、ほとんど何にも見えなくなった。

「アンビリーバボー……」

本場の本物のアンビリーバボーを間近で聞いた。

何も見えなくなった僕はまたまたノロノロ運転になる。そうすると後ろの車がイライラして車間をつめてきて、パッシングしだす。我慢が限界に達した後ろのドライバーは対向車の存在などおかまいなしに轟音をあげながら僕を追い越す……この繰り返し。

それでも助手席のポール・マーリー教授は、アンビリーバボーを必死にのみ込みながら、有名な教授にふさわしい実に堂々とした態度で、やがて見えてきた「虻田」という看板を「アビュータ」と声に出して読んだりしながら落ち着いているふりをしていた。

ニセコに着いてからも、教授は概ね機嫌が良かった。お前の車はひどいとか、お前の運転は下手だとか、北海道のドライバーはキチ◯イだとか、死ぬかとおもったぞとか、そんな文句は一言も発しずに、やはりニセコはすばらしい、さすが世界に名だたるパウダースノウだ、アンビリーバボー、といってスキーを思う存分楽しんでいた。

次の日ぐらいになると、教授もかなりリラックスしてきて、有名な教授とかつての教え子という窮屈な関係も少しくだけてきたので、僕は夕食のときに思い切って冗談っぽく言ってみた。

「実は、あのとき事故ったらどうしようって思ってました。教授も怖かったんじゃないですか?」

でも教授は有名な教授にふさわしい実に堂々とした態度で、気取った持ち方のスプーンでスープを口に運びながら「そんなことはない」と笑っていた。

僕が、有名な教授が事故で死んじゃったら新聞の見出しに出ちゃうな、とか想像して、

「Paul Marley, Famous Professor from US, died in Car Accident at Niseko...」

と口にしたときだった。教授は突然恐い顔になり、

Formerly !

と叫んだ。僕はびっくりした。何のことかわからないので、見開いた目で教授を見つめたまま黙って続きを待ってるしかなかった。

「Formerlyが抜けてるんだ。死んだんだからFormerly Professorだ!」と教授は付け加えた。

プリンスの訃報に際して、これで彼は本当に「Formerly Known as Prince」になったんだなあ、とか思ったついでに、思い出した話である。

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2016/04/15

DOME TREKの感想

7週間も経っちゃったけどDOME TREKの感想を書いておく。

「今度札幌に来たときはもっと成長して今とはひと味違ったももクロちゃんを、いや、でもやっぱりいつもと変わらないももクロちゃんを、お見せできたらいいなと思います」

3年前の5Dツアーでの百田さんの最後のあいさつがとても印象に残っている。アホなのに咄嗟に印象に残る言葉を発する百田さんの才能は地方でも地道に発揮されていたのである。

その後実際には、昨年2回ほど月刊高橋があったのだけれど、あのとき百田さんが言った「ひと味違うけどいつもと変わらないももクロちゃん」は、まさにこのDOME TREKのことだったんだなって思いだして、自分で勝手に感動していた。本人はきっと言ったこと一文字も覚えていないだろうけど。

座席は内野スタンドのわりと前の方で通路側だった。途中で突然その通路に、つまり僕のすぐ横に、百田さん(と川上さん)が現れて、ものすごいスピードで駆け上がっていった。最上階の観客へのサービスのためだった。ぐるりと最上階を回ったあと、百田さんはまたステージに戻っていった。札幌ドームの急勾配階段を下から上まで駆け上がるのがどのくらいたいへんなのか、地元の民としてはわかっているつもりである。だがステージに戻った百田さんに、特別息を切らしたような様子は見受けられなかった。

さすが羽生世代を代表するアスリートとして、羽生結弦や大谷翔平とともにNumber創刊900号(<創刊900号特別編集>羽生世代、最強の証明。 - Number900号 - スポーツ総合雑誌ナンバー)に取り上げられるだけのことはあるなと、感心したのは昨日のことであった。フラフープ程度ではもう僕は驚かない。

玉井さんのピアノには感心しきりであった。青春賦のワンコーラスは玉井さんのピアノ伴奏だけだったと思うのだけれど(勘違いだったらごめん)、これはすごいことだと思った。自分の出す音だけが伴奏だなんてどれだけ緊張することか、合唱コンクールでいつもピアノ伴奏者だった僕は少しはわかっているつもりである。作曲者のしほりさんでさえ、生放送でとちっていたではないか。それなのに、玉井さんの堂々っぷりったら文句のつけようがなかった。ひょっとして、これは口パクならぬ指パクなのかと疑わなかったわけではないが、スクリーンに運指が大写しになっていたし、他会場ではとちったという情報も耳にしたので、やはり本当に生演奏だったのだろう。なお、そのピアノは、玉井さん用にかなり簡素なアレンジに変えられていたが、僕はむしろそのシンプルさが新鮮に感じられ、青春賦の新たな魅力が引き出されたと感じた。

高城さんはタップの最中、宙に浮いてるように見えた。以下略、また別の機会に……。

佐々木さんは、あの音出せば誰だってヒューヒューって言ってくれるだろうからずるいと思った。以下略、また別の機会に……。

有安さんは……、いや、ここで僕はドラムの村石さんの話をしたい。緊迫したステージが続き、そしてやっと彼女たちのMCの時間に入ったときのことだった。それまでかなり挑戦的なパフォーマンスを披露してきた彼女たちが、ここで初めて観客に語りかけるのだが、そこで彼女たちはかなりどうでもいいことをまとまりなくグダグダと話し始める。今回初めてライブを見た人には評判が悪かったようだが、これは慣れが必要かもしれないけれどお約束なのだ。僕は毎朝通勤バスの中で聞こえてくるA高校の女子生徒たちの他愛ない会話を思い出す。

僕はそのときふと、このグダグダぶりをダウンタウンももクロバンドの面々はどう思っているのだろうと不安になってステージを双眼鏡で観察した。そうすると、ギターの西川さんも、ベースの浜崎さんも、キーボードの本間さんも、わりとリラックスした「やすめ!」のポーズでヘラヘラとした笑みを浮かべながら彼女たちの話を聞いていたので安心した。そうだよね、もう慣れっこだよね、ていうかこれこそももクロちゃんたちの魅力だよね。

ところが、ドラムの村石さんに焦点を合わせたとき、僕はちょっと凍りついてしまった。村石さんはイライラしているように見えるほどの恐い顔をしながら、スティックを握りしめてスネアを叩く動作をしている。鍛え上げられた上腕の筋肉が収縮を繰り返しているのが見える。ももクロちゃんたちのMCなんかこれっぽちも聞いていない。村石さん、グダグダした会話に怒ってるんだろうか。ほんとはこんな仕事、やってられねえって思ってんじゃないだろうか。僕の不安は増した。スティックはドラムヘッドには当たらないものの、ときどきリムをかすめてわずかな音が発生し、胴の振動がこちらにまで伝わってくる。

やばい、村石さんは怒っている、と僕が思ったそのとき、ももクロちゃんたちのMCが終わり、突然ステージの床に穴が開いて、ドラムセットに囲まれた有安杏果さんがせり上がってきた。そして、有安さんと村石さんとの壮絶なドラム合戦が始まった。

このとき僕は真相を悟ったのだった。村石さんは怒っていたのではなく、有安杏果とのドラム合戦に備えて本気でウォーミングアップしていたのだ!

有安さんは後半リズムが乱れたようだったが、村石さんは手を抜かなかった。僕はももクロちゃんに全力で真剣勝負を挑む村石さんに感動していた。そして最後のあいさつでは、有安のドラム良かったよね!っと僕たちに向かって叫ぶ優しさを見せた。

アマランサスも白金の夜明けも今となっては遠い過去のことのようだ。

またスケジュールがうまく合って、ももクロちゃんたちのライブに参戦できる日がくるといいなあと思いつつ、なぜか僕はここのところ、暗い音楽が聞きたくなって、山本精一とかPhewとかを聞いたりして過ごしている。

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