2017/02/01

2016年に読んだ本私的第2位

第2位 殊能将之 未発表短篇集

残念ながら、1月中に書き上げることができなかった。もう2月なのに昨年のことをまだ振り返っているなんて、いささか気恥ずかしいことなのですが、今さら仕方がないので続けます。

これは昨年の2月に出た短編集なのですが、これを読んでしまったらもう新たな殊能将之の文章は読めないのだな、と思うと、読むのが本当にもったいなくて、ゆっくりじわじわと、時間をかけながら読みました。

短編三作は自宅のダンボールから発見されたもので、おそらく習作か、ひょっとすると何らかの理由にボツになっていた短編と思われます。しかし、そうは思えないほどレベルは高く、いずれもホラー、ファンタジー、ミステリィの要素が結実した質の高い作品です。やはりただならぬ才能を感じさせられました。わりときちんとしたオチがついているところからも、著者の律儀な性格が伺えます。

逆にオチをつけずにもっと謎を残してもやもやさせ、さらに話をもっと難解でわけわからんくすれば、読み手がこれは何かの暗喩じゃないかなんて勝手に深読みし始め、そうすると純文学の範疇に入れられ、すばるとか文學界とかに掲載されちゃって、そんでもって芥川賞も夢じゃ無かったんじゃないかな、なんて妄想したりしました。

そして、なんといっても、殊能将之ファンを泣かせるのは、最後の「ハサミ男の秘密の日記」です。

こんなもの、殊能将之ファンしか喜ばないと思いますが、もしそうでない人が読むのならば、できれば殊能将之の長編5冊、少なくとも「ハサミ男」は読んでからにして欲しいと思います。

名探偵・石動戯作が、なぜデビュー作の「ハサミ男」ではなく、二作目の「美濃牛」から登場したのか、長年少し不思議に思っていたのですが、その疑問も解決しました。私は、名探偵の石動戯作や水城優臣が、最後に安永知夏と対決するのを勝手に妄想していました。そんなこと、あり得ないのは分かっていましたが、そんな私にとって夢のような作品も、文字通り儚い夢のまま消え去り、妄想のまま終わってしまいました。

「ハサミ男の秘密の日記」が未完で終わってしまったのも、残念でなりません。


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