"BEATLES"を日本語に訳すと
先日の「ヘイ・ジュードの謎」は先生が久しぶりに渾身をこめて書いた力作でした。濃厚な洋楽ファンからは高い評価をいただいたので先生は満足なのですが、ここまで一般ウケしないとは予想外でした。
一方、こんなことは誰でも知ってるよなあと思いながら、とても気楽に"BEATLES"という名の由来についてミニブログに書いたのですが、意外にもむしろこちらの方が反響がありました。そこで、改めてそのことについて書こうと思います。
ビートルズは、当時彼らが尊敬していたバディ・ホリーのバンド、クリケッツ(コオロギたち)にあやかって昆虫の名前をつけようと考え、Beetles(カブトムシたち)という名前を思いつきました。ただそれだけじゃ面白くないので、ロックのビート(beat)にかけて、スペルをBeatlesに変えた、というのがその命名にまつわる有名な話です。
さあ、そこで先生も王様風に、例えば王様がディープ・パープルを「深紫」と、レッド・ツェッペリンを「鉛の飛行船」と、ローリング・ストーンズを「転がる石たち」と呼ぶように、Beatlesを直訳しようと考えたのです。この調子でいくと、ブラック・サバスは「黒安息日」、セックスピストルズは「性拳銃」、ニルヴァーナは「涅槃」、キンクスは「捻れたち」、AC/DCは「交流/直流」、フォリナーは「外人」、ミスター・ビッグは「大きい氏」、ザ・フーは「誰」、ユーライアヒープは「偽善者」、スモール・フェイセスは「小さい顔たち」、オアシスは「憩いの場所」などと、ああキリがありませんね。
ロジャーでーす。ピートでーす。ジョンでーす。キースでーす。4人合わせて、せーの「誰」でーす! なんてのもなかなかかわいいと思いますが。
さて、Beatlesも直訳しましょう。え、簡単じゃないかって? そうです、王様もすでに「カブトムシたち」と直訳しています。でもこれでは大事なことを忘れていますよ。Beetlesならばそれでいいんですが、彼らがロックのビートにかけてわざわざスペルを変えたことを思い出してください。つまり、Beatlesの直訳は「カブトムシたち」だけではダメで、そこにロックのビートを感じる言葉をかけなければ正しく直訳したことにならないんです。
さあ、そこで先生は考えました。もし、皆さんにもっと良いアイデアがあるというのなら、ぜひお教え下さい。では先生の答えを発表します。Beatlesの直訳は
カビートムシたち!
ToneMatrix
マス目を適当にクリックしていくだけで手軽にループ音楽が作れるウェブツール。先生は最初、これはTENORI-ONというにはシンプル過ぎるじゃんと思っていたのですが、適当にドットを埋めていくうちに、まるで自分がミニマルミュージックの現代音楽家になったような気がしてきました。
右クリックで数値に置き換えられた楽譜がコピペできます。たとえば先生が適当に作った上のキャプ画像は、
我が教え子たちよ
先生の教え子たちよ、元気にやっていますか。これは先生の教え子たちにしか分からないエントリーです。部外者の方々には本当に申し訳ありません。
先生はロシア連邦保安庁の追跡を何とか逃れ、君たちと遠く離れた地に潜伏しています。先生はとてもさびしいです。とくに先日、この風景を見たとき、君たちとよく利用したあの礼拝堂を思い出し、思わず目に涙が浮かびました。
関連ログ:人気メニューの名前は?
牛の尿ドリンク
これ、インドの牛の尿から作ったドリンク。さすがヒンドゥー教の国だね。お買い上げはこちらから。
実際に原料を採取しているところ。ますます飲みたくなっちゃうよね!
Urine therapyより取得。
牛の尿は心臓にもいいし精神的にも強くなれる万能薬なんだそうだよ。やっぱり尿って体にいいんだね。⇒参考:医者がすすめる尿療法
一番言いたいことを書き忘れた。こりゃまさにカルピスだね!(アメリカ人にはcow piss、つまり牛の尿って聞こえるそうだよ)
ヘイ・ジュードの謎
あまり公にはしてほしくないのですが、先生はロシア連邦保安庁の追跡を逃れて北海道のどこかに潜伏しています。新しく先生をかくまってくれた人、通称ウクレレ院長はとてもよくしてくれますが、お昼休みに絶唱するのがたまにきずです。そのレパートリーはかなり広いのですが(参考)、最近はとくにヘイ・ジュードに力を入れているようです。
毎日毎日ヘイ・ジュードを繰り返し聞いていますと、ヘイ・ジュードが頭にこびりつくと同時に、ヘイ・ジュードにまつわるいろいろな思い出まで蘇ってきました。先生にビートルズの素晴らしさを教えてくれたのは同級生のビートルズマニア、ミカミ君でした。今を去ること32年前のことです。そのときミカミ君はこう言いました。
ミカミ君: ヘイ・ジュードっていうのはね、ポールがジョン・レノンの息子のジュリアンにプレゼントした曲なのさ。だから最初はヘイ・ジュールって歌ってたんだけど、あるときヘイ・ジュードって間違って歌っちゃって、でもこの方が感じがいいねってことで、ヘイ・ジュードになったんだよ。
間違っても何となくいいなら採用するってところがいかにもビートルズっぽいですが、そこはどうも違うようですね。しかし、一般的にヘイ・ジュードがジュリアン・レノンに捧げられた曲とされているのは今でも変わりありません。ところが、あらためて歌詞を見ると、あの頃よりもいくらか成長した先生にはいくつも疑問が湧いてきます。大事にしていた内田久美子訳の全詩集も、今ではこんなの誤訳だらけと馬鹿にするほど先生は成長しているのです。案の定、世間にはヘイ・ジュードに関する様々な解釈が氾濫しています。本当のところ、ジュードとは誰なのか?何なのか?
思えば先生がミカミ君にそのヘイ・ジュードの話を聞いた頃、ビートルズ好きで有名だった日本のバンド、チューリップが全曲ビートルズ・カヴァーである「すべて君たちのせいさ」というアルバムを出しました。ヘイ・ジュードもカヴァーされているのですが、後半のリフレインが続いてポールがシャウトする部分、チューリップ・バージョンでは「何だよお前!」という日本語のシャウトが何回も繰り返されます。当時先生は、これはチューリップのメンバーの間で流行っているギャグなんだろうなと思っていました。でも、今やっとその本当の意味が分かりました。チューリップは、「ジュードって何だよ?」と叫んでいたのです。
さて、そこで先生は、先生が親しくしている世界的な教授や音楽家の皆さんに手紙を出して、ヘイ・ジュードとは何なのかという質問をしてみました。このほど、その返事が集まりましたのので、皆さんにも公開したいと思います。先生が手紙を出したのは以下の方々であり、いずれも世界的に活躍されている著名人ばかりです。ポール・ダイスキー教授(言語学)、ジョン・レノビッチ氏(音楽家)、ハル・ゴールドスタイン教授(昆虫食研究家)、ロマン・テイト教授(イギリス文学)、ブライアン・ウィルソン・メイ教授(社会心理学)、S浦聡一郎助教(性科学)。
Hey Jude, don't make it bad Take a sad song and make it better Remember to let her into your heart, Then you can start to make it better.
Hey Jude, don't be afraid You were made to go out and get her The minute you let her under your skin, Then you begin to make it better
And anytime you feel the pain, hey Jude, refrain, Don't carry the world upon your shoulders For well you know that it's a fool who plays it cool By making his world a little colder
Hey Jude, don't let me down You have found her, now go and get her Remember to let her into your heart, Then you can start to make it better
So let it out and let it in, hey Jude, begin You're waiting for someone to perform with And don't you know that it's just you, hey Jude, you'll do The movement you need is on your shoulder
Hey Jude, don't make it bad Take a sad song and make it better Remember to let her under your skin, Then you'll begin to make it Better better better better better better, (make it Jude) ooh
Na na na nananana, nananana, hey Jude...(refrain)
(Paul's shout) Yeah, yeah yeah yeah yeah yeah Ju- Jude-y Jude-y Jude-y Jude-y Jude-y oow-wow Oohoo my my my... Jude Jude Jude Jude Joo... Yeah yeah yeah You know can make it so Jude, you're not gonna break it Don't make it bad Jude Take a sad song and make it better Oh Jude, hey Jude, wooow Ooo, Jude Oo, oo, oo, oo Oo, oo, oo-yeah Ooo, ooo oo Oo oo oo Now Jude Jude Jude Jude Jude Jude, yeah yeah yeah yeah yeah yeah Oh nanananananana cause I wanna Nananananananananananananana ow-wow Yeah eh eh eh heh heh heh Make it through Yeah yeah yeah yeah yeah yeah yeah yeah yeah yeah yeeah Aaahahahaha... Good evening ladies and gentlemen my mymymymymymymymymymymymy myy Oooo Oooo Wooo Wooo Well then a na-nananana
ポール・ダイスキー教授(言語学)
親愛なるスミルノフ教授: 数あるポールの作品の中でも私の最も好きな曲であるヘイ・ジュードに関する質問をお寄せいただき光栄に存じます。この曲は、一般的に言われているとおり、ジョン・レノンとシンシアの間に生まれたジュリアン・レノンに捧げられた曲です。ジョンがヨーコのために離婚を決めたとき、シンシアとジュリアンを心配した心優しきポールは愛車のアストン・マーチンを運転してすぐにかけつけたのです。そしてシンシアとジュリアンを慰め、励ましました。そのころ、ジェーン・アシャーと別れたポールは、「いっそ僕らが結婚しちゃおうか」なんてジョークまで言ったそうです。ヘイ・ジュードのアイデアは車で向かう途中に頭に浮かんだということです。ポール自身は次のように語っています。
ポール・マッカトニー: 僕は最初、「Hey Jules」というのが頭に浮かんだ。もちろんジュリアンのことさ。そして続けて「don't make it bad, take a sad song and make it better」ってね。ねえ、たいへんなことだけど何とかやっていこうって意味さ。もちろんそれは簡単なことじゃない。両親の離婚に巻き込まれた子どもは本当に気の毒に思うよ。まさにそんなとき、この曲が思い浮かんだってわけさ。僕は後でJulesをJudeに変えた。その方が何となく聞こえがいいからね。
このように、ヘイ・ジュードがジュリアン・レノンを元気づけるために書かれたことは本人が明らかにしているわけで、疑いようのない事実です。シンシアやジョージ・ハリスン、それにアップル社取締役だったピーター・ブラウンなど多くの関係者もそう証言しています。JulesをJudeに変更したことに関しては「何となく聞こえがいい」以外に理由はありません。ポールによれば、その方が彼の好きだったカントリー・ウェスタン風に聞こえるんだそうです。
JulesをわざわざJudeに変えたことを勘ぐる邪推もよく目にしますが、JudeはJulianとdudeを合わせたニックネームであり、言語学的見地からも別に不自然ではありません。Judeはユダヤ人のことだなんて馬鹿なことをいう人がいますが、そもそもポールはJudeがドイツ語でユダヤ人を意味するなんてことは知らなかったのだと、ピーター・ブラウンは証言しています。だから次のようなエピソードが生じてしまったというわけです。
ピーター・ブラウン: ヘイ・ジュードを売り込む一助にしようと、ポールはベイカー街とパディントン街のブティックを利用することにしたんだ。ある夜遅く、彼は店にこっそり入って、窓に水しっくいを塗りつけると、その上にブロック体で"HEY JUDE"と書いたんだ。翌朝、店を開けようとやって来た近所の店主が、それを見て激怒した。<よう、ユダ公>なんて歌を聞いたこともなかった彼らは、ナチスによるJuden raus (Jews out)を思い起こし、それが反ユダヤ主義者のいやがらせだと思った。文字が消され、誤解が解かれるより先に、店の窓にはレンガが投込まれた。
私の主張が正しいことの何よりの証拠は次の一枚の写真です。
ポールは本当にジュリアンを愛していました。ジョン・レノンは「ポールはジュリアンの叔父みたいだった」と言っています。いや、ひょっとすると背後に写っている実の父親以上にジュリアンを愛していたかもしれません。
そう考えれば、次の歌詞も自然と理解ができるようになります。「Let her into your heart...Let her under your skin」のherとはヨーコのことです。ポールもジュリアンもヨーコが好きではありませんでしたが、受け入れる努力をしようということです。「For well you know that it's a fool who plays it cool by making his world a little colder」の部分も難解だといわれている箇所ですが、これは苦痛や怒りが生み出す感情的な冷たさに対する警告です。冷たい人間にならないようにしようと歌っているのです。 「let it out and let it in」もわけがわからないといわれていますが、「it」は「love」のことです。自分の愛を捧げ、そして彼女の愛を受け入れようという意味です。
百歩譲ってジュリアンへの愛以外の意味がこの歌にあるとすれば、それはポール自身のことでしょう。前述のとおりこの時期、彼はジェーン・アシャーとの別れで神経質な状態にありました。そこで、リンダ・イーストマンに走ることが「make it better」なのだと自分自身を納得させたのでしょう。
私が最も許せないのは、この曲がヘロインの歌だという人たちです。ポールが軽いドラッグをやっていたことは認めますが、ヘロインはやっていません。いや、やっていないはずです。むしろ嫌っていたのです。ポールの母親は看護婦だし、注射は嫌いでした。それにポールはヘロイン常習者であったジョンのひどい状態を見て知っています。他にもいろいろと歌詞が深読みされていることは私も存じています。謎の箇所「The movement you need is on your shoulder」もいろいろと変な解釈がなされているようですが、ポール自身の言葉をよく聞いてほしいと思います。
ポール・マッカートニー: 最初僕は「the movement you need is on your shoulder」という歌詞はつまらないと思っていたんだ。だから、ジョンとヨーコに初めて聞かせたとき、「心配ない、この部分は変えるつもりだから」と言ったんだ。するとジョンは「そこが一番良いところだよ」と言ったんだ。僕が「まるで意味がないよ」と言うと、彼は「だからいいんだよ」と言った。まあ、それが僕なんだ。自分じゃいい出来なのかどうかわからない。それが僕なんだよ。
スミルノフ教授、どうぞ変な曲解はなさらぬようお気をつけください。作詞した本人にしてみれば、歌詞には他人がいろいろと邪推するほどの意味などないのです。ヘイ・ジュードは単にジュリアン・レノンへの励ましソングです。もちろんそれを聞いた人が、自分への励ましソングだと受け止めることを否定はしません。むしろそれがリスナーとしての正しいあり方でしょうし、音楽とはそうして浸透していくものです。
ジョン・レノビッチ氏(音楽家)
親愛なるスミルノフ教授: お手紙ありがとうございました。また毎年恒例であった年末のブログ主のピンチヒッターを昨年末は務めることができずたいへん申し訳ありませんでした。あの頃私は麻薬取締法違反で刑務所にいたので、どうしてもお引き受けすることができませんでした。つきましては私の出所ならびに社会復帰に尽力していただき、お礼の言葉も見つからないほど感謝しています。
さて、ヘイ・ジュードの件ですが、ご存知のように私はジョン・レノンの生まれ変わりです。ですから、理屈がどうであれ、私はジョン・レノンの言葉を妄信するほかないのです。すなわち、あれはポールのジョン・レノンに対するはなむけの歌だということです。
ジョン・レノン: ポールはジュリアンについて書いたって言ってる。でも僕はいつも僕に向けた曲だと思って聞いている。考えてごらんよ、あれはちょうどヨーコが現れたばかりの頃だった。彼はいってるんだよ、「ヘイ、ジュード」つまり「ヘイ、ジョン」とね。深読みするのが好きなファンみたいだけど、やっぱり僕に向けた曲とも取れるはずだよ。「go out and get her」という歌詞は、潜在的には「go ahead, leave me」と言ってるんだ。意識のレベルでは、彼は僕に去ってほしくなかった。彼の中の天使は「祝福あれ」と言うんだけど、彼の中の悪魔はそんなことちっとも思ってなかった。だってパートナーを失いたくなかったからね。
私は一昨年の「ジョン・レノビッチの戦争は終わるブログ」で、実はポールこそジョンに勝るとも劣らない平和主義者だということをいくつかのエントリーで論じました。このことは昨年、ポール自身の「ジョン・レノンに平和活動をすすめたのは私だ」という発言で証明されました。ですから、ヘイ・ジュードが実は平和ソングだということを否定したくはありません。しかし、残念ながら私はジョン・レノンを信仰しています。信仰とはそういうものです。理屈じゃないんです。
ハル・ゴールドスタイン教授(昆虫食研究家)
親愛なるスミルノフ教授: ご存知のとおり私はユダヤ人ですが、Judeはドイツ語でユダヤ人(Jew)を意味します。 すなわちこの曲は、ユダヤ人を励ます曲です。最初ポールは「Hey Jules」と歌っていたと言われていますが、それはきっと「Hey Jews」を聞き間違えたのでしょう。「Jews」ではあまりに直接的なのでドイツ語にしてごまかしたに過ぎません。ポールがJudeというドイツ語を知らなかったという証言もありますが、ドイツで活動を始めたビートルズが知らなかったとはとても思えません。
それにビートルズを有名にした立役者はユダヤ人ばかりです。ブライアン・エプスタインはもちろん、彼らの権威付けに役割を果たしたエド・サリバン、レナード・バーンスタインもユダヤ人です。エプスタインと音楽出版社ノーザンソングスを設立したディック・ジェームスもユダヤ人だし、アメリカ進出前に早々と映画「ビートルズがやってくるヤァ!ヤァ!ヤァ!」への出演契約を結んでくれたユナイテッド・アーティスツはユダヤ資本の会社です。もひとつついでに言うと、リンダのお父さんもばりばりのユダヤ人でした。つまり、アメリカでのビートルズ成功は、全くユダヤ人たちのおかげだと言っても過言ではありません。さらに、余計なことかもしれませんが、ビートルズはアングロサクソンに追いやられたケルト人の血をひいています。したがって、ポールはユダヤ人に恩義を感じていたし、ナチスに弾圧されたという点でシンパシーを感じていたとしても全く不思議ではありません。
さて、この曲が書かれた時期は、イスラエルの先制攻撃による第三次中東戦争と見事に一致します。その数年前、ビートルズはイスラエルでのコンサートを開く予定でしたが、イスラエル政府は若者を堕落させる恐れがあるとして許可しませんでした。この苦い思い出はポールのイスラエルに対する平和のメッセージを増幅させたであろうと考えます。すなわち、平和主義者であるポールはホロコーストの傷跡を背負う彼らを癒し、報復などという愚かな行為はしないよう「carry the world upon your shoulders」とイスラエルに呼びかけたのです。この頃のイスラエルは(今もその状況にあまり変わりはありませんが)周囲の国は全部敵国でありアメリカや国連の援助に頼らざるを得ませんでした。ポールは、本当はそんなものに頼らず静かに孤立するべきだと歌ったのです。 「World on your shoulders」とはまさに選ばれた民ユダヤ人の運命の重みのことであるし、「You're waiting for someone to perform with」 とは救世主の出現を待つユダヤ人のことを示しています。
そもそもヘイ・ジュードはレボルーションとアップル社最初のシングルA面を争った曲であり、結局はカップリングでリリースされたことを思い出してください。レボルーションに関してジョン・レノンは次のように語っています。
ジョン・レノン: ぼくはスローバージョンを、ベトナムや革命に対するビートルズの立場の表明として、シングルでリリースしたかった。でも、ジョージとポールはテンポが遅すぎると言って反対だった。
ビートルズがその歌詞の中にドラッグやセックスなど別の意味をこっそりと挿入するのが好きだったとも証言している元クォーリーメン(ビートルズの前身)のピート・ショットンは、この頃のジョンとポールについて次のように語っています。
ピート・ショットン: ポールはジョンの赤裸々な曲のいくつかを嫌っていることを隠そうとしなかった。はっきり言えば、レボルーションとレボルーション9だ。けれど、あの頃のジョンにとっては彼が何年も書いてきたどの歌よりもずっと意味のあるものだった。それで彼は、もうすぐ発足するアップルのデビュー盤には、それをA面にするべきだと決めていた。ロックンロールに立ち返った曲だってこと以外にも、ビートルズが政治的なメッセージをはっきりと盛り込んだ最初の曲だったからね。だからこそポールも慎重になったんだよ。彼は根っからのノンポリだし、ビートルズはそんな重いトピックスに近づかないほうがいいと思ったはずだから。
ジョンが政治的な色を前面に押し出してきた以上、それに対抗するためにポールも政治的なメッセージが含まれている曲を打ち出す必要がありました。しかし、直接的な表現を嫌うポールは、「ジュリアンへの励まし」というパイの皮で、それをやさしく包んだのです。また、Hey JudeとRevolution、これは聖書のJudas(ユダ)とRevelation(ヨハネの黙示録)にもかかっており、宗教色もかもし出しています。問題となっている「herとは誰のことか」ですが、これはpeace(平和)のことなのです。peaceはヘブライ語でもラテン語でも女性名詞ですから。それから「sad song」はホロコーストを含めたユダヤ人の悲しい歴史を意味しています。
7分以上というこの曲の長さ、特に後半の単純なリフレインが長いことがしばしば単調でつまらないと批判されますが、単純なフレーズが何度も繰り返されることは政治的な歌にとって必要な要素です。なぜならば、政治的な歌は行進する民衆によって延々と歌われ続けなければならないからです。そういう意味ではベトナム戦争時、ポールの「ヘイ・ジュード」はジョンの「平和を我らに」に敗北しました。しかし「ヘイ・ジュード」は、マルタ・クビショヴァーのカヴァーによって政治的ソングとしての命を取り戻しました。チェコスロバキアのビロード革命時、民主化運動をすすめる民衆によって歌われたのです。
以上のような私の主張が正しいことは、ポール自身が証明してくれました。2008年、ポールは悲願であったイスラエルでのコンサートを成功させました。ヘイ・ジュードは4万人以上の観衆による大合唱となりました。驚くべきことに、ポールはそこでジョンの「平和を我らに」までをも演奏したのです。これ以上分かりやすい答えがありますでしょうか? ヘイ・ジュードはユダヤ人に平和を呼びかけた歌なのです。
ロマン・テイト教授(イギリス文学)
親愛なるスミルノフ教授: ヘイ・ジュードのジュードとは、ずばり、私の研究対象であるイギリスの作家、トーマス・ハーディ(1840-1928)の小説「日陰者ジュード」の主人公のことです。ジュードはどこへ行っても何をしても結局悲劇に巻き込まれます。すなわち、希望を持つ持たずに関わらず、たとえ絶望の底に落とされる運命であったとしても、ピュアな心を持ち続けようと呼びかけた歌であるといえます。また、ジュードはアラベラとの結婚に失敗し前夫と別れたスーを愛するものの、2人は結婚という制度そのものに疑問を感じ続けます。ちょうどこの曲を書いたころ、ジェーン・アシャーとの婚約を破棄し、子持ちのリンダ・イーストマンと付き合っていたポールは、ジュードに自分を重ねていたのかもしれません。したがって、もしもこの曲の主人公が女性であったならば、曲名は「Hey Tess」になっていたに違いないと、私は確信しています。
ブライアン・ウィルソン・メイ教授(社会心理学)
親愛なるスミルノフ教授: ヘイ・ジュードがヘロイン賞賛の歌であるということは欧米では常識です。この歌はロックスターたちがみんなヘロインに狂っていた頃に書かれました。ビートルズで最もヘロインにはまっていたジョン・レノンは、初めてこの曲をポールに聞かされたとき、すかさず「これは僕のことだね」と言ったそうです。Judeはイギリスではヘロインを意味するスラングでもあります。よく歌詞が意味不明だと悩んでいる人がいますが、ヘロインだと考えればすべてつじつまが合って、まるでヘロインを打ったかのようにすっきりしますよ。
たとえば「So let it out and let it in」というのは、ヘロインを静注するとき、一度注射器に血液を引いてヘロインと混ぜてから戻すという動作のことです。「under your skin」もしばしば意味不明だということで話題にあがりますが、ヘロインだと考えればとても自然な歌詞です。つまり、「Remember to let her(heroin) under your skin, Then you'll begin to make it better」は「ヘロインを皮膚の下に打てば気持ち良くなるという」という意味です。「You are waiting for someone to perform with」はヤクの売人あるいはいっしょにトリップする仲間を待っているわけであるし、「The movement you need is on your shoulder」はヘロインを筋注する場所である肩を示唆しています。「For well you know that it's a fool who plays it cool by making his world a little colder」も最も意味不明な部分として知られていますが、ヘロインを打つと体が熱くなるって知ってましたか? つまりヘロインをやらないで自分の体を冷たいままにしておく奴が馬鹿だと言ってるのですよ。
7分以上というこの曲の長さ、特に後半の長く続く単純なリフレインが単調で耐えられない、盛り上がっているのはポールだけ、などと批判されます。しかし、ヘロインをやれば単純な繰り返しでこそ盛り上がれるし、幸せになれるのです。単調な繰り返しの毎日でも幸せになれるのです。あなたが耐えられないのはヘロインをやっていないからです。
もしヘイ・ジュードが表面的にはそういわれているようにジュリアンを励ます歌だとしたら、「Let it out and let it in」がどうして両親の離婚に悩む子どもに結び付くのでしょう。また、「Remember to let her into your heart」のherとは誰なのかという疑問も残ってしまいます。いいですか。 「Let her in to your heart」の部分を何度も繰り返して聞いてみてください。どうです? 「Let heroin to your heart」と聞こえませんか。いや、聞こえるはずです。だって、最初からそう聞こえるように作られているのですから。
さらに私の主張が正しいという決定的な証拠をあげるとすれば、ポールがシャウト部分で「take it Jude」と叫んでいることです。何をやれっていってるんでしょう? あなたのように英語がネイティブではない人にはそのニュアンスは分かりづらいかもしれませんが、私には「ヤクをやれ!」というふうにしか聞こえません。ビートルズは60年代最強のバンドです。社会的な立場上、正面きってヘロインのことを歌にすることなどできませんでした。ジュリアンへの歌だというのは彼らお得意の巧妙なカムフラージュなのです。
S浦聡一郎助教(性科学)
拝啓スミルノフ教授: ご無沙汰しています。お元気ですか。さて、あなたの質問へのお返事ですが、ちょっと最近忙しいので手短にお答えします。これはポールが自分のペニス(jude)について歌った歌だと思います。したがって、「You have found her now go and get her, Remember (Hey Jude) to let her into your heart, Then you can start to make it better. So let it out and let it in」を私なりに訳しますと、「俺のペニスよ、彼女を見つけたらすぐに行け、いいか忘れるな、彼女をお前の虜にしろ、そうすれば気持ちよくなる、さあ出したり入れたりだ」 というふうになります。いつも下ネタで申し訳ありません。でも、私があなたに指導を受けていたとき、あなただって実験室で下ネタばかりしゃべってたじゃありませんか。気取り続けるのもいいかげんにしてくださいよ。
最後に
うーむ、S浦に手紙を出したのは大失敗だったな。最後に先生は、アメリカ人のスティーブとあるロックの曲を聴いていたときのことを紹介します。
「ねえスティーブ、この歌詞、文法的に間違ってない?」 「間違ってるけど、歌詞は何よりも韻が優先されるから…」 「ねえ、今の単語の発音変じゃない?」 「たしかに普段の会話ではそんな発音しないよ。でもロックだから…」 「で、結局、この歌はどういう意味なの?」 「そんなの分からないよ、だってロックだから…」
注:このエントリーは多くのビートルズ本、ビートルズに関するサイト、海外サイトの掲示板での発言などを参照し、パクリまくっています。そこに作者の創作もごちゃ混ぜになっており、ただのネタと思っていただければ幸に存じます。
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