コーヒー
年度末も近くなりました。皆さんの多くは、仕事や勉強に追われて、眠い目をこすりながら夜遅くまで頑張っていることでしょう。先生も、年度末までに仕上げなければならない仕事が溜まってて、とても平常心ではいられない状態なのですが、ああ神様、あなたはそんな先生の心を全く知らないのか、いや、十分ご存知の上でなお厳しい修練の場を与えてくださっているのか、容赦無い連続緊急手術攻撃で先生を一睡もさせませんでしたね。おかげで先生は原稿書きや文献検索にも身が入らず、こんなところにくだらない文章を書くはめに陥ってます。おいおい、眠くて仕事はできないがウェブの更新はできるのかよー、とか、そんな時間があったら仮眠をとれ馬鹿者、とかいう批判の声は、先生も重々承知の上です。
さて、こんな時に欠かせないのが皆さんも大好きなコーヒーです。昔はコーヒーといえば不健康の代名詞でしたが、最近は糖尿病の予防効果が話題になっています。
■コーヒー愛飲者は糖尿病になりにくい van Dam RM,Feskens EJ. Lancet 360(9344):1477-8,2002.
オランダのコホート研究ですが、最近の同誌のcorrespondenceで、日本でも同様の研究結果が得られているようです。
(MedWave 2003.2.26.) ところがフィンランドでは正反対の結果だそうで、今後はメカニズムの解明が求められます。カフェインのせいなのか、違う成分なのかも分かってません。
おいおい、何が糖尿病予防効果だ、糖分がどっさり入った甘ったるい缶コーヒーを1日に5本も6本も飲んでたんじゃあ、予防成分の効果なんか元も子もねえんだよっ!と言ってる、先生が希に見る缶コーヒーフェチであることを知るそこのあなた、黙っててください。
あ、でもそこの妊娠中のあなた、あなたはどうやらコーヒーを控えたほうがよいようです。
Wisborg k, et al. BMJ 326(7386):420,2003. 死産の危険性が高くなるそうで、こっちはどうやらカフェインのせいらしいです。先生は身に覚えがないので、たぶん妊娠してないと思うので、安心して飲んでます、ジョージア。
自信を持って
あまり頻回にこのスペースを更新しますと、先生を監視している大将軍様が、
「あの原稿はどうなってるっ!ぐだぐだつまらないこと書いてないで、さっさとやれいっ!」
と、お怒りになるので、先生もつらくなってきました。
先生はテキストの原稿書きがイヤです。だって、所詮他人のテキストや論文を写しているに過ぎないのですから。それでも、たまに、このような解釈が分かりやすいのではないだろうか、とオリジナリティを出してみますが、それがそもそも勘違いも甚だしい考えだったら、取り返しがつきません。先生なんかより、もっと上手に書ける人、いくらでもいるだろうにと、最近の先生は自虐的です。
気分転換と称して、先生はまた鳥見に行ってしまいました。とある有名な観察小屋です。鳥の群れは、肉眼では判別できないほど遠くですが、スコープでマガモの群れに混じるハシビロガモ、ミコアイサ、バンなどを確認し、少しご機嫌の先生です。ベテランバーダーの先生は、当然すぐの目の前にいる人馴れしたダイサギなんかには目もくれません。
そこへどうやら、家族サービスとおぼしき親子が・・。
「ほらっ、見てごらん!あれがハクチョウだよっ!」
「え、パパ、どこどこ?」
「ほらっ、あの大きい白い鳥だよ」
ち、違うってパパ、ダイサギだよ、ダイサギ。サギとハクチョウは、やっぱり違うだろー。お願いだ、パパ、気づいてくれ、子供にウソを教えるなぁ!
「ねーっ、白いからハクチョウっていうんだっ」
ま、いっか。先生もあのパパのように、とりあえず自信を持って教えられるようになりたいです。
ノーベル賞への道
4代目Susie君、小柴先生のご講演を聞かれて、ますますノーベル賞獲得への意欲が湧いたようですね。さて、多くの人は、先生の専門を麻酔学だと勘違いしているようですが、本当の専門はノーベル賞獲得学です。長年の研究の結果、今のところ先生の結論は、
- その研究のきっかけはうっかりミスであること
- その研究の最初の論文は、ネイチャーかプロナス
- その論文がきっかけで他の研究者の論文が次々と出る
- できれば社会現象にまでなる
ノーベル賞は、1回3人までなので、3人目の選抜が熾烈です。1998年のノーベル賞は、血管内皮NOの研究でした。先生の友達のイグナロ君は、EDRF=NOの証明でモンカダ君と3人目を争い、おそらくちょっと遅くてちょっと劣った方法だったのに、栄冠を勝ち取りました。何故かというと、イグナロ君はバイアグラ開発の貢献者だったからです。
というわけで、ノーベル賞のとり方について語れば長くなる先生ですが、肝腎の受賞対象となる研究をするのを忘れてました。もうダメかもしれません。4代目Susie君も、授賞式に備えて社交ダンスを習い始めたのは感心ですが、その辺も考えといてください。それとも、先生といっしょにイグ・ノーベル賞を目指しますか。
じゃんけんの確率とクローン羊ドリーの寿命
一般人もそうだが、特に医者などはそうした確率的な事象を捉える力を持っている必要がある。しかし、実際に起こることを個別に見るとそれは常に0か100かであり、例えば癌の患者さんに「5年以上生きる人は70%です」と説明しがちだが、「先生じゃぁ私は70と30のどっちに入るんですか?」と聞かれるのがオチである。
先生が少し日記のネタについて煮詰まってるそぶりをしたところ、とある医学生の方から、思い切ってはっきりとweblogにしてしまったらどうか、つまり、ニュース収集と日記を完全に融合しちゃったらどうだろう、というご意見をいただいてみました。
そして先生はピーンときました。先生のイメージとしては、かの有名な「連邦」の医学版のようなものです。毎日、どっかのサイトのニュースや情報のリンク貼って、それに対する意見のような日記を書けばいいのです。
いや、素晴らしい助言をいただきました。あなたは本当に医学生でしょうか。本当は、医学生を装ってる教授なんじゃないですか?
で、さっそくやってみましたよぉ。とある医学生の方の日記サイトで、気になる記事を見つけました。統計の怪しい本も書いてる先生としては、統計学の概念と医学におけるその意味についてこれほど分かりやすい解説を見たことがありません。
「手術で95%の方は完治しますが、5%の方は再発します。分かりましたか?」
「はい、分かりました。」
でも、再発すると、
「先生は95%治るといったじゃないか、なんで5%の方にうちが入るんだ、医療ミスじゃねえのか?」
って言われるんだよね。
生みの苦しみ
天才による優れた芸術作品は、たいていは苦しみぬいて用意周到に創作されたものではなく、天才ゆえの閃きとともに衝動にかられ、一気に製作されるものです。例えばモーツアルトは、何十分ものメロディが一瞬にして編曲された形で頭に浮かんだといいます。ですから彼は楽譜を書くとき、まず第一バイオリンを書いてぇー、次に第二バイオリンを書いてぇーって凡人のようなことはせず、すべてのパートをいっぺんに、タテに楽譜を埋めていったといいます。
しかし、天才の寿命は短い。それは、閃きというものが、ある時ぱったりと来なくなる、実に不安定で勝手極まりないものであることに起因しましょう。
いや、実は先生も、今やメインコンテンツになってしまったこの日記パート、筆が進まないのです。ちなみに、溜まりに溜まっている教科書原稿や治験書類や研究報告書なんかは、もっと筆が進みません。
今のところ、冗談で始めたニュースコンテンツは楽です。ニュースサイト見て、自分の気に入ったニュースにリンク貼るだけだも、気楽です。
いや、閃きは来てます。来てますが、それらは最近文章ではなく、映像だったりします。しかし、製作に捧げる時間がありません。
このまま先生は、幻魔大戦が書けなくなった平井和正、あるいはマカロニほうれん荘が描けなくなった鴨川つばめになってしまうのでしょうか。
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