いにしえのNEC98大活躍
サーバの移転と新装開店を機会に、溜めてたネタを一気に吐き出している。といっても、またまたレッツノートと関係のない話である。
最近、ちょっと右肺の上葉がアテッてるんじゃない? とみんなが心配する患者さんがいた。アテッてるというのは無気肺のことで、いわば業界用語ですな。え? 無気肺ってなに?って? つまり肺の一部分に分泌物が溜まっちゃって、うまく空気が入っていかない部位 があるってことですよ。 で、若者達は、聴診器をあてて、呼吸音を聞いてみたりしてるが、うーん、よくわからないって顔をしている。まあ、胸部レントゲン写真を撮ればすぐ分かることなんで、大きな問題じゃないんだけど、ちょっと診せてって言って、私はその患者さんの胸を「打診」してみた。打診というのは、一方の手を患者さんの胸にあてて、その手の指の上から、もう片方の手の指でコンコンっと叩き、その時の音の変化で診断するという方法である。もし肺のその部位 に空気が少なければ、音の変化で察知できるのである。こいつは聴診と並んで、いわゆるお医者さんというイメージを代表するしぐさなのである。ところが、それを見ていた周囲の者たちは、
「んまー、いにしえの……」
と言って、くすくす笑ってるでいるではないか。
「な、なにを笑っている。オレはふざけているわけではないぞ。真剣だぞ。ほら、よく聞いて見ろ、コンコン、コンコン、ドッドッ、ほらみろ、ここで音が変わっただろ。やっぱ、アテッてるぞ。」 「ほーんとですかぁー」 (ニヤニヤ) 「なにを言ってる。ほら、もう一度よく聞いてろ。 コンコン、コンコン、ドッドッ、ほら変わったぁ!」
ついムキになってしまったが、その後にレントゲンが予定されており、それを見ればすぐ分かることなので、たしかに説得力はなかった。しかし、「お医者さん」の「代表的しぐさ」であるこの「打診」が、すでに若者医師たちの間では「いにしえの」とまで言われる古式ゆかしき手法になり果 てていることに、一抹の寂しさを感じざるをえない。でもなー、打診できんくてどーするんだぁー。それじゃー健康診断の時、することなくて困るぞー、おまえら。
さて、パソコンで「いにしえの」といえば、NECの98シリーズを思い浮かべる(なんて長い前フリ、とお思いでしょうけど)。私も15年ほど前まではお世話になっていた。しかし、3年前にこの研究室に来たとき、またNEC98で仕事をするとは夢にも思っていなかった。そう、この研究室では、古い98マシーンが、バリバリの現役で働いていたのだった。
研究室での最初の仕事は、心臓から採取した、たった一個の細胞に微小な電極をあてて、その細胞の電気的な活動を観察するというものであった。細胞の膜にはチャネルと呼ばれるイオンの通 り道があって、ナトリウムやカルシウムやカリウムイオンが細胞内外を行ったり来たりしている。イオンの流れはすなわち電流であり、つきつめていけば、こいつが「心臓よ動け!」という命令の源なのである。
当時は、といっても、ほんの数年前までは、この微小電流の計測データは、デジタル・オーディオ・テープ、略してDATに記録していたのである。昔オーディオ・マニアだったという人なら話は早いが、カセットテープの次世代の録音機器として、デジタル録音機器の旗手DATは、それはもう華々しく迎えられたのである。しかし、その後のオーディオ・ブームの衰退、CDの普及、さらにはMDの誕生によって、録音機材としてのDATの存在価値はなくなった。一般 にDATは、エルカセット(音質を良くするために、通常のカセットテープよりもひとサイズ大きい。すぐに廃れた。)と同様、すでに絶滅していると思われているだろう。ところがどっこい、手軽にデータをデジタル保存できるという点が評価されて、我々のような一部の研究者の間で細々と生き残っていたのである。 それでも、絶滅危惧種の特別天然記念物であることに変わりはない。下の写真、左に見えるのがそのDAT、ティアック製である。
次に、DATに記録したその電流をどのように解析するのかが問題だ。当時、この業界に脈々と受け継がれているBASICで書かれた解析ソフトで解析するしかなかったのである。DATの上に見えるADコンバーターを介して、右のPC98XAで解析するのだ!!
このPC98XAには5インチフロッピードライブが内蔵されている。今日日、フロッピーディスクでさえあまり見ない時代に、5インチである。5年ぶりぐらいの5インチフロッピーとの再開に、しばし感動した。ここだけの話だが、私は実は8インチも使ってたことがある。
ところが、このPC98XAの内蔵ドライブはすでにお亡くなりになっており、外付けの5インチフロッピーディスクドライブがつながっていた。外付けだったら、3.5インチのを付ければいいじゃん、とお思いだろうが、そう簡単に取り付けられたら苦労はしない。なんせ、外付け5インチドライブから伸びるケーブルは、PC98XAの奥深くの基盤にまで伸びているのである。
一応ここで解析すれば、電流データはテキストデータの数字の羅列になるから、あとはエクセルにでもデルタグラフにでも持っていけば、現代の環境で整形できる。ところがデータは5インチフロッピーの中である。少なくとも3.5インチフロッピーに移動させなければ、身動きがとれない。
そこで、この研究室では、次にご紹介するノートパソコンが大活躍していた。
そう、大江千里も真っ青、PC9801NS/Tなのだ。今でこそ、ノートいえばバイオレッツノートだけど、MSDOS全盛期の日本では、ノートといえばやっぱり98だったのだ。この98ノートに外付け5インチドライブをつなげ、内蔵ドライブの3.5インチフロッピーにデータをコピーする。フロッピーは2HDじゃなくて、2DDを用いる。これで初めてマックでも読めるデータフロッピーが出来上がる。
つい1年ほど前から、さすがにこの方法は採用しなくなった。今では、実験そのものをDOS/Vマシンで制御し、データは直接DOS/Vマシンに取り込まれ、解析もすぐにできる。それにしても、最先端の基礎医学を学ぼうとやってきて、現役の98シリーズとともに仕事をするとは、夢にも思っていなかった。
さて、最初から98ノートで解析すればいいじゃん、どーして98XAが必要なの?と思うかもしれないが、実はその解析ソフトがハイレゾモードで書かれたものだったので、98ノートじゃ動かなかったんです。
ThinkPadの正しくない使い方
さて、前回はいちレッツノート・ファンとして、売れに売れまくってるソニーのバイオを糾弾してやろうとして、ほぼ失敗に終わった感が強い。懲りずに今回は、世界のIBMが誇るビジネス・ノート、ThinkPadを餌食にしてやろうではないか。はっはっは。
イメージのバイオに対して、ThinkPadを選ぶ本来の理由は、歴史あるメーカーへの信頼性と実用性、といったところではないだろうか。たしかに作り慣れているので、同じスペックのCPUを搭載していたとしても、ベンチマークテストでは他社製品に勝るようである(不確かな記憶にもとづく)。拡張性もとことん考え抜かれており、パワーモバイラーたちの要求に見事に応える強者である。頑固なまでに黒いボディは、デザイン重視というよりも、むしろ汚れに強いという側面 を感じさせる。
そう、ThinkPadはまさに実用性重視。バイオを読売ジャイアンツに例えるならば、ThinkPadはさしずめ西武ライオンズといったところであろう。あれ?レッツノートの入る余地ないじゃん。レッツノートは阪神タイガースか?え?そこまでメジャーじゃないって?じゃあ、千葉ロッテマリーンズあたりか?
さて、そんなハイパービジネスマン御用達のThinkPadだから、作りも堅牢である。一般 ユーザー向けの他に、業務用のとりわけ堅牢なモデルも売ってる。レッツノートにも堅牢業務用のプロノートってのがある。こいつらは本当に堅牢である。窓から落としても壊れない。ただし、一階の窓に限る。しかも、上半身を窓から出して、腕を地面 に向かって大きく伸ばして落としたら、である。
とにかく、このような激しく使ってナンボのThinkPadであるから、レッツラーがレッツノートをかわいがるようにかわいがってはいけない。レッツラーのように、七色のトラックボールを集めたり、トラックボール部分の穴のあいたキーボードカバーを探し回ったりしてはいけないのである。ましてや、塗装が剥げてきたきたからといって、派手な色で塗り直したりしては絶対ダメである。(と書いたところで、本当に塗り直してる人がいたらヤバイなーと思って、念のために調べたところ・・オレンジ色に塗り直している方がいらっしゃいました。んー、本当にやるとはなー。恐れ入ったなー。)
ま、とにかくだ、オレの考えでは、ThinkPadは道具の中の道具であって、けっして愛玩動物のようなかわいがり方をしてはいけない、とか思った。例えば、この男である。
ThinkPad S30をシコシコと磨くこの男である。黒いボディに惚れまくり、黒いボディにマッチした専用の黒いバッグに入れて、いそいそと持ち歩くような、この男のような使い方は、本来のThinkPadの正しい使い方とは、けっして言えないのである。
次はThinkPadの正しい使い方の典型的な例である。男なら仕事ができてナンボである。そのためのThinkPadではないか。ボディを磨くヒマがあったら、ThinkPadでガンガン仕事しろ! こいつはすごいぞ。まさにThinkPadが仕事の山に埋もれている。しかも、バリバリのビジネスマン仕様、2400Xだぜ。 ウーロン茶がこぼれてボディが汚れようが、そんなことは構わない。 無造作に貼った得体の知れないステッカーも良い雰囲気を醸し出している。あとで剥がす時に塗装が剥がちゃわないかなー、なんて心配するようじゃあ男じゃないのだ。
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