2001/09/01

トラックボールで自慢できるか?

レッツノートは自慢できるノートパソコンだろうか。性能、拡張性、デザインなど、もちろん私は最高だと自負している。しかし、これらの要素の評価は、個人の環境や好みによって左右される。すなわち、レッツノートを確実に他人に自慢するための決定的な要素ではない。

「どうだい、このシルバーと青を基調にした素敵なデザイン!」
「いや、僕はIBMみたいに真っ黒でないと好きになれないんです。」

「どうだい、この拡張性!今時シリアルもパラレルもついてるんだぜ!」
「だって、僕、そんな古い周辺機器、持ってないすから。」

「どうだい、ペンチアム?の700MHz!!」
「メールとワープロぐらいしか使わないから、セレロンで充分っすよ。」

以上のように、このような自慢の仕方は失敗に終わる可能性が非常に高い。そこで切り札の登場となる。トラックボールの搭載である。

「どうだい、最優秀ポインティング・デバイス、トラックボールだぜ!」
「外付けマウスでいいじゃないすか。」
「外付けぇ〜だ〜と〜、そんなのけしからん!」
「なんでですか?」
「だって、おめえ、せっかくポインティング・デバイスが内蔵されてるのにだなあ…」
「そんなの無意味なただのこだわりじゃないですか?」

ここはしょうがない、最後の手段に出る。
「しかし、外付けマウスじゃなあ、こんなことできないだろうがぁ!」
そう言って、寝転がってみせる。腹の上にレッツを載せて、トラックボールを転がしてみせる。
「どうじゃー!どうじゃー!わはははは!」
「……あのぉ……。」
「恐れ入ったかぁ?」
「そんなこと、別にタッチパッドでもできますけど…。」
「だからぁ、トラックボールはマウスの次に優れたポインティング・デバイスゥでぇ、タッチパッドはその次なのお!」
「いや、タッチパッドに慣れてるんで。トラックボールはどうも…。」

い、いかん。通用しない…。トラックボールの方が優れているというのは、普遍的な事実ではないのか? トラックボールさえも個人の好みで左右されるに過ぎない要素だったのか? いや、そんなわけはない。考えろ。いかにタッチパッドが軽薄な発想から生まれたくだらない物であることを説明しなければなるまい。そのためには歴史的背景を話さなければならぬ。話は長くなるが、それも仕方あるまい。

「いいか、良く聞け。そもそもトラックボールはなぁ、作業する場所を確保するために考え出された、最も歴史の古いマウスの代用品だ。そもそもWindowsにマウスが必需品なのはMACの真似をしたに過ぎない。だから、当然、最も古くからマウスを使っていたのは俺たちMACユーザーだ。トラックボールはマウスの誕生後まもなく発明されたので、DOS/V系の奴らがまだマウスを使い出す前から、すでにMACユーザーにはおなじみのデバイスなのだ。デスクトップの横で、野球ボール並みのドでかい玉を意味も無く回してニヤニヤしているMACユーザーはごろごろいたぞぉ。さすがに最近は光学式マウスの登場で、デスクトップで使っている姿は見かけなくなったが、トラックボール・ファン、日本トラックボール愛用会、トラックボール研究所といったサイトは根強いトラックボール・ファンの存在を物語っている。そんなトラックボールだから、その後ノート型MACのポインティング・デバイスに採用されたのは極自然な成り行きであった。PowerBookにトラックボール、これは疑問をはさむ余地のない当たり前の組み合わせであったのだなぁ。ところが、90年代後期のノートパソコン薄型化戦争の勃発で状況は一変する。とにかく1mmでも薄い方がかっこいいノート、ということになった。はっきり言って、そのためだけに、どうしても一定の厚さをくってしまうトラックボールが槍玉 にあげられ、タッチパッドなんていうヘンテコなものが開発された。とにかく薄けりゃよくて、機能性なんてどうでもよかったから、初期のタッチパッドはホントにひどかったぞぉ。数日で反応しなくなったりなぁ、中には激しく擦り過ぎた結果 、ビロビロに伸びちゃって、波打ってるタッチパッドもあったぞ。それでもミテクレに騙されたバカな奴らのおかげで薄型ノートが大流行してなぁ、ついにあの松下さえもトラックボールから手をひいちまった。しかし、本当のヘビーユーザーたちは困った。いかん、仕事にならんぞぉ、とな。ヘビーユーザーたちは通勤列車の中でもノートで仕事せなあかん。せまい列車席では当然外付けマウスなんて使い物にならんのだ。そこで、真のノート使いたちは立ち上がった。FPANAPCの面々がトラックボール復活運動を展開し、大量の復活希望署名を集めたのだな。ユーザーの意見が命の松下がこれを無視するわけはない。果たして2年後には、ついにトラックボール搭載機が復活した。松下だけやでぇ。数あるメーカーの中で、松下だけが搭載しとるんやでぇ。えらい貴重な存在なんや。しかも、こんな涙の歴史を背負って生まれてきたノートなんやでぇ。それでも、お前みたいなアホが多いからかもしれへんが、残念なことに今のレッツノート、L2もA2もM2もトラックボールはついてないんや。まあ、HITOシリーズでは、まだまだトラックボールががんばってるしな。だいたい、このままでFPANAPCが黙ってるわけないし、「トラックボールがんばれ!」の面々もThinkPad派の乱入を物ともせず堂々の盛況ぶりやからなぁ。だいたいなあ、お前、もしタッチパッドが無くなったら、「タッチパッドのノートが欲しい運動」、起こすかぁ? 「タッチパッドがんばれ!」なんていう掲示板、見たことあるかぁ? なあ?……あれ?いない……。」


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