2018/12/27

墓銘録2018その4 西城秀樹

2018.05.16 西城秀樹

西城秀樹

小学生時代:私の小学校では有名歌手に年賀状を出して返事をもらうという遊びが流行っていた。その遊びのイニシアチブをとっていたのはクラスの親分的存在であるアズマ君で、堺正章から来た年賀状をこれ見よがしに自慢されたのをよく覚えている。今から覚えばそんなの事務所の人が事務的に宛名書いて返信しただけに決まってるんだが、当時は彼が何をやるんでも天下を取ったような顔で自慢するのがくやしくて、私は見返してやろうと思って手当たり次第に有名歌手たちに年賀状を出した。返事が来る確率を少しでも高めようと、ちゃんとその歌手の本名まで調べて宛名を書いて出した。だから私は当時の有名歌手の本名をやたらに知っている。今でも西城秀樹の本名が木本龍雄で広島出身だということも覚えている。当時は本名なんて雑誌に一覧になって載ってたものだ。個人情報もクソもなかった時代だ。そんな努力の甲斐もなく、結局私は芸能人からの年賀状を一枚も受け取ったことはない。

中学時代:小学生の頃から神童と呼ばれた私だが、中学時代にはどうしても抜けないやつがいて、一番になれなかった。オオミネというやつだ。オオミネは勉強だけじゃなく、スポーツも万能で何をやらせても一番だった。さらに勉強以外の話題も豊富で、芸能界の話も巧みだった。ほんとうに完璧なやつだった。ある日オオミネは私に新御三家について人差し指を突き上げながら一席ぶりやがった。
「ま、言ってみればルックスのゴーヒロミ、アクションのサイジョーヒデキ、歌唱力のノグチゴローってとこなんだよな」
だが私は見抜いていたのだ。それが昨日発売の学研中一コースに載ってた新御三家特集の受け売りだということを。そのことを指摘するとオオミネは僕を無視して、突き上げた人差し指はそのままにくるっと私に背を向け、別の奴に向かって繰り返した。
「ま、ルックスのゴーヒロミ、アクションのサイジョーヒデキ、歌唱力のノグチゴローと言ってだな……」

高校時代:私のクラスでは学校祭向けに自主制作映画を撮ることになった。クラスで一番の成績を狙って毎晩徹夜勉強に励むヨシダ。しかし、常にクラスで一番なのはスポーツも万能、長身でハンサムなシラトリだった。どんなに勉強をしてもヨシダはシラトリを抜けない。そこでヨシダは、シラトリがいったいどんな方法で勉強しているのか偵察することにした。ところがシラトリは勉強するどころか毎晩ぐっすり寝ているばかりではないか。そう、実はシラトリの好成績の秘密は「睡眠学習」だったのだ。自分がこんなに頑張っているのに寝てばかりで好成績をあげるシラトリが許せないヨシダは、試験前日にこっそり睡眠学習のテープを「YMCA」と入れ替える。試験当日、開始の合図とともに問題用紙をめくるが「おかしいぞ、何も覚えていない」と焦るシラトリ。そこでヨシダは用意してきたラジカセのスイッチを入れる。鉛筆の音だけだった教室に突然「YMCA」のイントロが流れ出す。
「おかしいぞ、何も覚えていないばかりか、体が勝手に動く!」
一心不乱に問題を解く生徒たちの中で、ただひとりシラトリだけが立ち上がり、そして踊り出す。
「ワーイエムシエー!」
撮影中、もちろん私はその他大勢の生徒たちのひとりだったので、一心不乱に問題を解くふりをしていたから、シラトリ君が踊る場面はのちに映像としては見たが、実際には見ていない。ただシラトリ君が立ち上がって一生懸命にYMCAを踊っている衣擦れの音だけが、鮮明な記憶として残っている。

すごいなあ、「お題:西城秀樹」だけで自叙伝書けちゃうんじゃないだろうか。西城秀樹って偉大だなあ。


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2020/07/26

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