2015/07/29

骨折したら強くなる―花形満と高城さん

折れた骨は強くなる、と言ったのは花形満か?

一度折れた骨は前よりも強くなる、という言い伝えはよく知られているように思う。ネットでは、そんなのは迷信、という解説が氾濫している。だが、どの解説も判を押したようなものばかりで、そんなのは迷信というのも、逆にまたコピペ文化が生み出した迷信ではないのか?と勘ぐりたくなった。

ま、それはおいとくとして、先生は、真っ先に「ふふふ、一度折れた骨は前よりも強くなるというじゃないですか」と不敵な笑みを浮かべる花形満の顔を思い出したのです。ひょっとして、この流言を世間に広めたのは花形満なんじゃないだろうか? そこで、さっそく巨人の星を開いて確かめてみた。

花形満1

花形が大リーグボール1号打倒のため、鉄のバットで巨大な鉄球を打ち返す特訓をしていたときのことである。グキン、という嫌な音とともに倒れこむ花形。

花形2

「ぼっちゃん、いまのは骨をくじいた音では?」と駆け寄る工場の人たち、ところが周囲の心配をよそに、花形はこう言ってのける。

「なんの、ねんざして治ったあとの関節は逆に強くなるという、むしろこの特訓の目指すところだ!」

すばらしい、さすが花形、不世出の天才打者と呼ばれるが、天才を天才たらしめているのは我が身も顧みないほどの努力があってこそなのだ! っと感動が蘇ってきたわけだが、ここで我が目を疑うキーワードに気づく。

ねんざ……

だめじゃん、捻挫はだめだよ、花形さん。骨に限った話ならば、先生はここでみんなが迷信だとバカにする、骨折した骨は前よりも強くなるという話の肩を持とうと考えていたのだが、捻挫じゃ話にならん。靭帯がからんでくるからね。捻挫は癖になる、と断言するつもりはないが、手根不安定症の可能性は否定できない。

しかし、花形の発言をなぜ骨折と思い込んでいたんだろう。人間の(てゆーか私の)記憶って、当てにならないもんだなあ。

骨折した高城は強くなる、とリーダー百田夏菜子は言った

骨折のことを考えだしたのは、隠す必要もない、というか、むしろこっちが主題かもしれないところの高城れにさんの左手橈骨遠位端骨折がきっかけである。それは桃神祭2015 エコパスタジアム大会を2週間後に控えた7月16日のことであった。

女子プロレスラーの参戦も告知されていたことから、また無理なことをさせられて受傷したのではないかなど、要らぬ憶測をしてしまう。だが、翌日のイベントに現れた他のメンバーは深刻な雰囲気を微塵も見せず、いつもの調子で次のような説明をした。

■ももクロ・高城れには“カッコつけて”骨折 メンバーが状況明かす ももいろクローバーZ『ももクロChan presentsももクロの大冒険III』テープカットイベント - YouTube

玉井詩織:彼女はテーブルに手をつけてかっこうつけるのが癖なんですね。そのときもテーブルに手をついてかっこうをつけようとしたんですが、テーブルが無かったんです。きゃはは。そして、おっとってなって、彼女は高齢者に多い骨折をしてしまいました。

百田夏菜子:高城れには鋼の手を手に入れて戻ってきますので、もっと強くなって帰ってくるんじゃないかと思います。

鋼の手とは、手術による金属固定を示唆したもので、骨が強くなることとは意味合いが異なるが、リーダーの言う「強くなる」にはもっと広い意味が込められているように思える。何も考えていないようなジョークが後々印象に残る言葉になるのは、このリーダーの天賦の才によるものである。

ファンを心配させまいという彼女たちらしいやり方だとは思うが、一方普段の高城れにを知るファンからすれば、大事な時期に怪我をしてしまったことへの自責の念にかられて立ち直れないほど落ち込んでいるのでないかと、心配は完全には払拭されない。

しかしそのあとすぐ、実にファン心理を理解していると感心させられるのだが、本人が直接メッセージを発するのである。

■iPhoneで録画されました 2015/07/18 19:00 JST

あれ、なんかおかしな話になってるって思って。かっこつけてあんな転け方はしてませんよ。(みんなが)れにちゃんらしいな、とか言って受け止めちゃってるから。冗談にするんじゃなくて真実を伝えなきゃって。ただただコケただけです。

まったく映像の無い、ただ真っ黒な画面に携帯電話からの音声だけで伝えられるメッセージから、一刻も早くという熱意が感じられる。そしてその声が、他のメンバーの冗談めかした報告に対する怒りだったことが、むしろ僕たちを安心させた。

高城れには、数日後には早くもテレビにその元気な姿を見せる。

高城れに1

メンバーはいつもと全く変わらぬ調子で、玉井詩織は高城れにの右手を折るしぐさを見せる。それに対して、右手まで折っちゃったら元も子もなくなる、と怒るれに。

少しの動揺も見せないメンバーと、驚く早さで復帰した高城れにだが、我々は彼女たちのほんとうの精神的打撃を知ることができない。

ももクロ見聞録 ももいろクローバーZ 公式記者インサイド・レポート 2013-2015

ももクロ

おそらく骨折後に撮影されたと思われる関連本の表紙の、左手を後ろに隠すれにの姿に哀愁を感じてしまうのは私だけだろうか。

骨折は人を強くする―鋼の手と鋼の意志を手に入れた高城れに

そして受傷時の様子と現在の心境が具体的に語られたのはつい昨日のことであった。

■ LoGiRL|ロガール | 川上アキラの人のふんどしでひとりふんどし ♯16

終始笑顔で番組を進める高城れにであったが、いよいよ番組の後半で骨折時の顛末に話が及ぶ。受傷したときに骨が折れたことが自分で分かったこと、そして痛みを堪えて真っ先に言った言葉が、「桃神祭出してくれる?」であったことが明らかにされる。

高城れに

さらに、整形外科医から、この痛みは芸の肥やしになるから忘れるなと言われて感動し、逆に骨折をして良かったと思えるようにまでなった、踊れるということが幸せだとわかって良かった、というようなことが語られる。

高城れに

ここで、こらえていた涙が一筋だけ、目尻から頬にかけて流れる。10万人のモノノフたちももらい泣きしたことだろう。

飛田社長

もらい泣きも束の間、はいはいメイクさん、と呼ばれてヘアーメイク・カインド飛田社長が登場して爆笑のメイク直しとなるのもチームももクロらしい一幕であった。

ちなみに、百田夏菜子が金属固定後の手を「鋼の手」と言ったのは、持ち歌である「鋼の意思」にかけたのであろう(トンチンカンだったらゴメン)。骨折が骨を強くするのかどうかはわからんが、どうやら骨折が人を強くするのはあり得る話のようである。そして高城れには、「鋼の手」のみならず、文字どおり「鋼の意志」をも手に入れてしまったようである。

「鋼の意志」は、高見沢俊彦が書き下ろした曲だが、めまぐるしい展開と複雑な構成から成る曲が多いももクロとしてはやや単調で、モノノフのあいだではけっして評判の良い曲とはいえない。だがしかし、昨年の桃神祭でも両日ともに演奏されているし、そのときには妹分の子たちが旗を振りながら大挙して登場するので、内心とは裏腹に盛り上げざるを得ないという曲である。残念ながら、今回の一件で、この曲はますます欠かせないものになったと予想する。鋼、鋼と、すっかり鋼がキーワードになっているので、今回も大事な場面で演奏されるのではないだろうか。(→8月1日追記:両日ともに演奏されませんでした。私の予想は当たったためしがありません。)

さあ、7月31日、8月1日は、静岡に集合だ! 「鋼の意志」にのって、れにちゃんにむかって力いっぱい拳を振り上げるぞ! (……いや、オレは行けねぇって……んなことしてたら職失って家庭崩壊するわ……)

一度折れた骨が強くなるというのは本当に迷信なのか?

さて、だいぶ話が脱線したが、ここで話を元に戻そう。ネットには、一度折れた骨が強くなるというのは迷信です、という知ったような口調の解説があふれているが、その根拠とされているのは、修復の際に形成される仮骨は太く見えるが、その本体は結合織や軟骨成分であり、カルシウムを含んでいないので実際には脆い、というものであり、どれもこれも似たような文章なので、出処の曖昧なコピペ文化の産物であると睨んでいる。

たしかに一次仮骨はそうだが、二次仮骨でカルシウムが沈着し骨化する段階では、局所的に元より強くなる時期があってもいいのではないか?と考える方が理にかなっているし、そういう文献も目にしたことがあるような気がする(今となっては探す気力も無いが)。

だが実際には、局所的に強くなったとしても逆にその周囲で骨折するかもしれないし、理想的な整復と固定が行われていることが大前提となるし、なによりも骨折とは骨だけの問題にとどまらず、靭帯などその周囲組織の損傷、神経障害などもからんでくるし、全体としては、骨を強くするために骨を折ることのメリットは全く存在しない、といえよう。

大リーグボール1号打倒後の花形満を診察した名医は誰か?

最後に、すっかり忘れていた花形満のその後について書き留めておこう。鉄バットと鉄球による特訓の成果で、球がバットに当たった瞬間に振りぬくという常軌を逸した方法で見事に大リーグボール1号を打ち砕いた花形満は、ホームインしたとたんに倒れこむ。

謎の医師

そして、そこに現れて花形を診察したのが、このハゲヒゲメガネの医師なのだが、これが只者ではない。

謎の医師

そう、鉄バットと鉄球と聞いて、それだけで医学的に分かってしまうのである。なんという名医! あれ? ハゲヒゲメガネ? これって実は私じゃないのか?

診察結果

「三角筋、大胸筋、大円筋などの筋肉の裂傷、および筋違い、さらに肩および手首などの複雑骨折……」ここで、筋肉の裂傷と筋違いの違いとか、複雑骨折とは複雑な骨折のことではなく骨が皮膚からとび出た骨折のことだよーんとか、もう野暮な説明はする気はない。そんなことよりも……

飛雄馬

ここで初めて担架が運ばれてきたということは、この名医は問診(鉄バットと鉄球という情報)と触診のみで、あれだけの診断を見事にやってのけたのだ。これは後に大リーグボール3号を投げ続けた飛雄馬の左手の腱と筋肉の損傷をレントゲン写真のみで診断した開業医よりも名医といえるのではないだろうか。

いや、野暮でしたね。両軍の全選手が駆け寄るホームの花形と対照的に描かれた、マウンドでただひとり立ち尽くす枠線からはみ出した飛雄馬、負けた投手の孤独感を見事に表した名シーンですよね。(一ヶ月ぶりにブログを書く気にさせてくれた高城れにさんに感謝しつつ……)

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