2014/09/25

古今東西ロコモーション!―56種類のカヴァーを集めてみた―その3:70年代ディスコサウンド〜80年代エレクトロポップの巻

1962年のリトル・エヴァによる大ヒット曲、ロコモーションのカヴァー・バージョンをネットで探し続けていたら、なんと56種類も集まってしまった。ロコモーションというたった1曲のカヴァーを追い続けただけで徒労に終わるかとも思ったが、最後には世界のポップ・ミュージック全体の歴史の流れが見えてきた……。今回は、その3:70年代ディスコサウンド〜80年代エレクトロポップの巻、と題して13種類を紹介します。

前回は70年代から90年代にかけての、ロック界におけるロコモーション・カヴァーを見てきましたが、今度はディスコ・サウンドが主流となった70年代ポップス、そしてシンセサイザーがフィーチャーされるようになった80年代ポップス(厳密には正しくないのかのしれませんが、便宜的に広義のエレクトロポップと総称します)におけるロコモーション・カヴァーの変遷を見ていきます。

注1)原則としてYouTubeで音源を聞くことのできるものに限定しました。興味のあるものはYouTubeへのリンクをクリックして試聴してみてください。

注2)リリース情報はDiscogsで調べました。興味のあるものはDiscogsへのリンクをクリックして確認してください。Discogsに情報の無い場合はAmazonへのリンクを貼りました。なお、コンピレーションアルバムの音源しか存在していないものもあるので、表記した年号は必ずしも初出を示すものではない可能性があります。

注3)サムネイルは原則としてレコードまたはCDジャケットの画像としますが、文字やイラストだけのジャケットの場合は、ミュージシャンの姿が分かる画像に差し替えたものもあります。

注4)たくさんあるので、先生の独断でオススメのものには、☆印をつけました。参考にしてください。

それではどうぞ!

No.32 ヴェトナウラ Vetonaula - Locomotion(1974年、フィンランド)

ヴェトナウラ
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Discogs

70年代ディスコと銘打っておいて、さっそく全然ディスコじゃないのから始まります。すいません。これはヨーロッパで”Schlager”と呼ばれたジャンルに属する極めてオーソドックスなポップスです。ディスコ・サウンドがヨーロッパを席巻するのはもうほんの少しだけ先の話になります。ystävyysというシングルのB面に収録されているようですが、フィンランドのグループだという以外、ほとんど何も分かりませんでした。平凡なアレンジと思いきや、ずっと聴いていくと大サビで気持ちのよい転調が現れるのと、全く異なるコード進行の一節が挿入されていて、ちょっとびっくりします。ロコモーションに大胆な転調を取り入れたアレンジはこれが世界初なのではないでしょうか? 情報が少ないのがちょっと残念です。

☆ 後半の転調にびっくり!

No.33 コンピュータ Computer - The Loco-Motion(1977年、フランス)

コンピュータ
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Computerについても情報が少ないのですが、Gérard SalessesとJean-François Porryという二人のミュージシャンによるユニットのようです。ってことは、元祖ダフトパンクってところでしょうか? といっても、チャカポコチャカポコとワウの効いたカッティングギターや、後半で盛り上がるブラスなどは典型的な70年代ディスコ・サウンドといった印象で、コンピュータ・サウンドにはまだまだほど遠いです。しかし、先生の調べた限りでは、おそらくこれがロコモーションにおける世界初のディスコ・アレンジ作品である可能性が高く、そういう意味では歴史的価値があると思われます。

☆ たぶん記念すべき世界初のディスコ・アレンジによるロコモーション。

No.34 エボニー Ebony - The Locomotion(1979年、ドイツ)

エボニー
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ドイツのユーロディスコで女性コーラスグループといえばシルバーコンベンションが思い浮かびますが、エボニーもその類の女性グループのようです。シングル6,7枚出しているようで、探せば他の曲もYouTubeでけっこう見つかります。

No.35 リッツ Ritz - Locomotion(1979年、イギリス)

リッツ
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リッツは、1979年に黒人女性ヴォーカルのRuby Jamesと二人の黒人男性(Tony Jackson、Kofi Missah)がイギリスで結成したソウル、ディスコ・グループ。アルバム「Puttin' On The Ritz」と、少なくともシングル3枚をリリースしています。シンセサイザーの導入やオクターブを使用するベース・ラインなど、後のエレクトロポップやユーロビートを彷彿とさせるディスコ・アレンジです。

☆ かなり完成されたユーロディスコ。

No.36 ハナ・ザゴロヴァ Hana Zagorová - Diskohrátky(1981年、チェコスロバキア)

ハナ・ザゴロヴァ
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1946年生まれのチェコの女性歌手。現在も活躍するかなり有名な方のようです。イントロのシンセサイザーやベース・ラインは、リッツのカヴァー・アレンジをかなり参考にしていると思われます。後のエレクトロポップへの繋ぎとなる作品、といえるのではないでしょうか。

No.37 ポーラ・アン・ブランド Paula Ann Bland - The Loco-Motion(1983年、イギリス)

ポーラ・アン・ブランド
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イギリスの歌手のようですが、どうやらシングルはこの1枚のみの模様。ボコーダーと安っぽいシンセ音が導入され、いよいよエレクトロポップ前夜といった感じです。歌い方はニャアニャアという感じでアイドルっぽいです。

No.38 デイヴ・スチュワート&バーバラ・ガスキン Dave Stewart & Barbara Gaskin - The Locomotion(1986年、イギリス)

スチュワートガスキン
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YouTube(12"ex.)
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ここまでかなりの数のロコモーション・カヴァーを紹介し、そしてまだまだ続くのでありますが、個人的には、後にも先にもこの作品が先生の選ぶベスト作品です! プログレッシブ・ロックの魂を受け継いだカンタベリー・ロックの中心人物、デイブ・スチュワート(通称ユーリズミクスじゃないほうのデイブ・スチュワート)の手腕が光る、シンセサイザーと多彩なサンプリング音源を駆使して精密に構築されたアレンジはあまりにも洗練されており、80年代シンセポップの頂点はここで極められたのだ、といっても過言ではないでしょう。そして曲中に何度も出現する変幻自在の転調は、ももクロ・サウンドですっかり転調に慣らされたはずの先生の耳で今聴いても、とても新鮮です。スチュワート&ガスキンは、レスリー・ゴーアの1963年のヒット曲、It's My Party(邦題:涙のバースデイ・パーティ)も素晴らしいアレンジでカヴァーしていますので、ご存知のない方はぜひ聴いてみてください。

☆☆☆ 80年代ポップサウンドの最高峰! 完成度という点ではこれを超える作品はもう出てこないだろう。

No.39 エマーソン・レイク・アンド・パウエル Emerson, Lake & Powell - The Loco-Motion(1986年、イギリス)

エマーソンレイクアンドパウエル
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出ました! ついにプログレッシブ・ロック界の大御所による初のロコモーション・カヴァーの登場です。キース・エマーソン大先生の、もう分かったからいいよ、と言いたくなる、ひとりよがりで好き勝手なイントロ&間奏でなんとかEL&Pらしさを保ってはいますが、テーマ部分はもうフォローのしようがないです。

☆ グランド・ファンク以来のロック界の大物によるカヴァー、といえば聞こえはいいが……。

No.40 カイリー・ミノーグ Kylie Minogue - Locomotion(1987年、オーストラリア)

カイリー・ミノーグ
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カイリー・ミノーグは1968年オーストラリア生まれの歌手。カイリー・ミノーグのロコモーションは、世界で最も知られたカヴァーのひとつだと思いますが、大きく分けると1987年バージョンと1988年バージョンの二種類があります。まず、この1987年バージョンでオーストラリアでデビューし、ヒットを記録することとなります。

☆☆ 世界的な大ヒットとなる88年バージョンの原型です。

No.41 カイリー・ミノーグ Kylie Minogue - The Loco-Motion(1988年、全世界)

カイリー・ミノーグ
YouTube(PV)
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続いて翌年の1988年、イギリスの音楽プロデューサー集団SAWによって、より完成度の高いワールドワイドバージョンが発売され、全英、全米で大ヒットを記録、カイリー・ミノーグの名前は世界中に轟くこととなります。サウンドは前作よりも分厚くなり(今となっては前作のスカスカした安っぽいシンセサウンドの方が新鮮に感じる場合もあるでしょうけど)、カイリーのボーカルもさらにパワフルになっている印象です。

☆☆☆ 全英2位、全米3位の世界的大ヒット!

No.42 森高千里 森高千里 - ザ・ロコ・モーション(1989年、日本)

森高千里
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1989年のライブ映像から。CDにはないようなので省こうかとも思ったのですが、ライブの模様はDVDに収録されていました。日本語で歌っているのかと思ったのですが、よく聴くと英語でした。時期的に考えても、カイリー・ミノーグのカヴァーだと考えて間違いないでしょう。

No.43 東京パフォーマンスドール 東京パフォーマンスドール - ロコモーション~ENTERTAINMENT MIX~(1990年、日本)

東京パフォーマンスドール
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篠原涼子の顔も見える第1期東京パフォーマンスドールによる、ある意味では貴重な音源です。全曲カヴァーから成るアルバム、Cha-DANCE Party Vol.1に収録。アレンジはやはりカイリー・ミノーグを踏襲しているようです。伊東ゆかりの音羽たかし(あらかはひろし)による訳詞とはかなり異なり、おしゃれに決めてねブランニューダンス、カクテルなんかはいらないの、朝までのパラダイス、といったように、バブル時代の末期を感じさせる歌詞となっています。

☆ やまちゃんは必見。3Bjrじゃないぞ。

No.44 シックスマニア Sixmania - Locomotion(1996年、デンマーク)

シックスマニア
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1996年にScandinavian Recordから発売されたらしいということ以外、ほとんど情報がありません。ユーロ・ディスコの時代を経て90年代も後半に入ると、いよいよハウス・ミュージックの影響が感じられるようになります。

――70年代後半に隆盛を誇ったディスコ音楽は、基本的にはソウル、ファンクといったアメリカ黒人音楽からの流れですが、アラベスク、ジンギスカン、アバなどヨーロッパ勢の台頭も重要な役割を果たしました。このようなディスコ音楽の繁栄と、電子楽器の急速な発達が、80年代の、特にヨーロッパにおけるエレクトロポップ誕生の土壌になったといえるでしょう。ロコモーションのカヴァーを追っていくだけでも、そうした流れは見えてきます。そして、カイリー・ミノーグのロコモーションが、その流れにおける80年代ポップのひとつの完成形であり、その影響は90年代にも及ぶことになります。

次回はいよいよ最終回、2000年以降のロコモーション・カヴァーをみていきます。

古今東西ロコモーション!―56種類のカヴァーを集めてみた―

■その1:世界がヒット曲を共有していた古き良き60年代の巻
■その2:グランド・ファンクで花開く70年代ロックから90年代へ〜でもグランド・ファンクが最初じゃなかった!の巻
■その3:70年代ディスコサウンド〜80年代エレクトロポップの巻
■最終回:何でもありの2000年代、まだまだ世界に広がるロコモーション!の巻
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