2014/05/09

フリアンじゃないよジュリアンだよ

■フリアン・タバレス - Wikipedia

Julian Tavarez

フリアン・タバレス(Julian Tavarez, 1973年5月22日 - )は、MLBの投手。右投右打。ドミニカ共和国サンティアゴ・デ・ロス・カバリェロス出身。1990年に、ドラフト外でクリーブランド・インディアンスに入団。メジャーに定着し始めたのは1995年からで、チーム2位の57試合に登板し、10勝をマーク。チームのアメリカンリーグ制覇に大きく貢献した。

タバレスといっても、メジャーリーグに馴染みの薄い日本ではほとんど知られていないだろう。そのうえすでに過去の選手だ。誰が載っけてくれたのかは知らないが、こうしてウィキペディアの日本語版に載っているという事実だけでも、僕はとてもありがたいと思わなければならないだろう。

もしもあなたが、ああタバレスね、知ってるよ、というのならば、あなたは僕にとってお友だちになりたいぐらい奇特な人だ。でもそれは、2007年に松坂大輔がレッドソックスに来たとき、松坂に惚れこんで弟子入りを志願した同僚、としてではないだろうか。あるいは、今年、ヤンキースのマイケル・ピネダが松ヤニを使って出場停止処分をくらったけど、そのときニュースで、過去にも松ヤニ使用で処分された選手がいるんですよ、ということで参考までに紹介された選手、としてではないだろうか。

日本で彼を知ってる人が全くいない、とまではもちろん言わないけれど、彼の全盛期をリアルタイムで間近に見ていた経験があり、今こうしてタバレスのことをウィキペディアの日本語版で調べているのは、日本広しといえども僕ぐらいなものではないか、と予想している。

このエントリーの趣旨は、今からこのウィキペディアの記述にツッコミを入れよう、ということなのだけれど、僕の予想通りこれを読んでいるのが僕ぐらいしかいないのだとしたら、ツッコミを入れたところで、僕以外の日本国民にとってはどうでもいいことだといえよう。

そのようなわけで、ウィキペディアそのものを編集することはせず(本当のことをいうと、ウィキペディアのIDとパスワードも、その編集のやり方も、すっかり忘れちまったのだ)、こうしてここで、僕個人の問題として、僕自身のブログの中でそのツッコミを入れさせていただくことにする。

それではいよいよツッコミます。

じゃーん、彼の名前は「フリアン」ではなく「ジュリアン」なんだよ!

根拠は、95年当時インディアンズの熱狂的ファンだった僕が、現地のクリーブランドの球場で何度も「ジュリアン」というアナウンスを聞いていることだ。――ついでにもうひとつツッコミを入れると、ウィキペディアの表記「インディアン」も地元での発音に基づけば「インディアン」が正しい。

そして有力な証拠として、彼がクリーブランドの銀行のローカルCMに出演していたとき、そのセリフの中で自ら、「フリアンじゃないよ、ジュリアンだよ」と言ってたことがあげられる。

このことは、もちろん彼の名前が本当は「ジュリアン」であることを示しているのと同時に、彼が「フリアン」と呼ばれがちだったということも示している。もっとも、それは無理のない話で、彼がドミニカ共和国出身で母国語がスペイン語であることに起因する。スペイン語由来の名前では、「J」は英語読みの「J」ではなく、スペイン語読みの「H」で発音するのが習慣となっているからだ。

たとえば、代表的な例としては「Jose」(参考:inogolo - Pronunciation of Jose : How to pronounce Jose)があげられる。「ジョゼ」ではなく「ホゼ」と発音される。

また、「Julio」(参考:inogolo - Pronunciation of Julio : How to pronounce Julio)も代表的な名前だが、「ジュリオ」ではなく「フリオ」と発音される。

フリオと聞いて多くの日本人はフリオ・イグレシアスを思い浮かべるかもしれないが、僕がまず思い浮かべるのはフリオ・フランコだ。タバレスと同じドミニカンで、95年と98年に日本のロッテでプレイした野球選手だが、元々は長くクリーブランドで活躍していた選手だった。95年にロッテでプレイした翌年には古巣のクリーブランド・インディアンズに戻り、ジュリアン・タバレスの同僚になっている。

僕は、フランコが打席につくときの、クリーブランドの観客から湧き起こる声を初めて聞いたとき、とても奇妙に感じたのを覚えている。それが歓声にしては太くて低すぎる、地響きのような音だったからだ。僕はフランコが嫌われていて、ブーイングが起きているのだと思ったほどだった。しかし何度か球場に足を運ぶうち、それが「フーリオ」の「フー」であることがしだいに分かってきた。観客は、「フゥーーーーーーーーーーリオー」と叫んでいたのである。

このようにドミニカ出身メジャーリーガーの名前の「J」は、反射的に「H」で発音される。だからタバレスのことをフリアンと呼びたくなるのは自然なことなのだ。いや、実際に子どものころはそう呼ばれていたはずだ。

ところが、彼はプロデビュー後すぐにアメリカ市民権を獲得し、そのときに名前の発音をわざわざ「フリアン」から「ジュリアン」に変えている。

Julian Tavarez - BR Bullpen
In the mid-1990s, when Tavarez became an American citizen, he changed the pronunciation of his name from the Spanish to the English (from a soft j or h sound, to a hard j).

僕がネット上で見つけた中では、これがもっとも決定的な証拠である。あるいはこれを出典としてウィキペディアの書き換えを試みてもいいのかもしれない。

以上で稿を終えようと思ったのだが、氏名の発音に関する疑問はつきない。タバレスは「フリアン」から「ジュリアン」に発音を変えたと言ってるのだが、果たしてそれはどこまで正式なものだと認められるのだろう。

たとえば日本では、氏名をどのように発音するのかについて、実は法律的にはけっこう曖昧なところがある。出生届や住民票には「ふりがな」の記載があるので、実際にはこれが正式なものとして扱われているようだが、「戸籍」自体は漢字での登録だけで発音の記載はない。つまり厳密には、日本人に与えられた氏名は漢字のみで、発音までは含まれていないことになる。

ではアメリカでは、氏名の発音に関して、書類上の扱いはどうなっているのか。今回はそこまで調べる余裕がなかった。また、タバレスがなぜそこまでアメリカ式の発音にこだわったのか、という疑問も解消されていない。そのためには、タバレス自身の生い立ち、ドミニカ共和国やドミニカ系アメリカ人の歴史、ラティーノと白人社会の関係、またはラティーノ内におけるヒエラルヒー(プエルトリコ、ベネズエラ系との関係、肌の色の度合いなど)等々、あまりにも多くの情報が必要となり、とても僕の手におえるテーマではないと諦めている。

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