2017/03/14

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2013/10/19

カミング・アップの謎その4:サックス前編

ホーンセクション
Paul McCartney - Coming より

お待たせしました! ……と、前回までは、どうせ誰も待っちゃいねーけどな、って気分で書いていたんですが、おかしなことに、先生の予想をはるかに超えて読まれ始めているようです。いやあ、困るなあ。だって、その道の詳しい人たちとかに知れたら、何言われるかわかったもんじゃないですからね。せっかくの好き勝手な妄想や、先生が得意としている我田引水的な展開もできなくなってしまいます。

なるべく読まれないような文章を心がけているつもりなのですが、おかしいなあ、なんでかなあ、と思っていたら、なんと、なんと、なんと、ポールがもうすぐ来日するっていうじゃありませんか! 世間から隔離されている先生、そんなこと全く知りませんでしたよ。たぶんみんな、先生がポールの来日に合わせてこれ書き始めたと思ってるでしょ? いやいや、ぜんぜん違うんですよ。ほんっとに偶然。まいったな〜。とってもタイムリーな記事ってことになっちゃうじゃないですか。

だがまあしかし、この偶然もきっと神のお告げなのでしょう、と気を取り直して始めることにします。

というわけで今回は、あのクソ恐ろしい◯ッ◯マニアたちに見つかる前に、ヤバイ部分をさっさと片付けておくことにしました。カミング・アップの謎第4弾、今回のテーマは、サックス・プレイヤーは誰かです。ロック・バンドではよくホーン・セクションとかいったりしますが、これはトランペットやトロンボーンなど金管楽器(ブラス)とサックスなど木管楽器の両方を配置した場合の総称です。ところが、上の写真でお分かりのように、プラスティック・マックスには、どういうわけかサックスしかいないので、表題は"サックス編"とさせていただきました。サックスは全部で4人いますが、これまた奇妙なことに、向かって一番左の人だけが、あからさまに他と異なる風貌です。ここまであからさまだと、何か特別で重要な意味が隠されているのではないかと勘ぐりたくなりますよね。

なので、まず"サックス前編"として、この異様な風貌のサックス・プレイヤーだけを最初に取り上げ、他の3人は後編にまわすこととします。おいおいこれが誰かなんてもう分かりきってるじゃねえか、もったいぶりやがってよ、というあなたのお気持ちは重々承知していますが、そこはどうか焦らずに、じっくりといきましょうよ。

それでは始めます。

長髪・口ヒゲのミュージシャンを探す

サックスプレイヤー
図1:長髪で口ヒゲのサックス・プレイヤー

ひときわ異彩を放つ左端のサックス・プレイヤー、その風貌を見て多くの人が真っ先に思い浮かべるミュージシャンといえば、間違いなく"あの人"でしょう。しかし、せっかく始めた"無駄に長い"ことが真骨頂のこのシリーズ、先入観にとらわれること無く、もっと冷静に進めていくこととします。

まず特徴として、モジャモジャした長髪濃い口ヒゲがあげられます。そこで、"long haired"とか、前回のその3:キーボード編で学習した口ヒゲ、"mustache"、"chevron"などといったキーワードを組み合わせてイメージ検索していきます。

ギーザー・バトラー
図2:ギーザー・バトラー

ただいまイメージ検索中……

……ギブアップ、ギブアップです。実は先生、2009年にもこのような挑戦をしてあえなく敗退しました。だいたい、長髪でヒゲのミュージシャンなんて、この世に腐るほどいるんだから。そんな苦労をわざわざしなくたって、どう見たってパッと見フランク・ザッパだろ。もうやめやめ。

しかし、長髪・口ヒゲのミュージシャンが星の数ほどいるのにもかかわらず、我々が直感的に「これはフランク・ザッパだ」という第一印象を持つことは、逆に不思議な現象といえます。同じ長髪・口ヒゲとはいえ、フランク・ザッパには、なんとも文章では説明できない独特の雰囲気というものがありますよね。それでも、あえて無理やり他のミュージシャンという条件で頭を絞ると、先生はブラック・サバスのベース、ギーザー・バトラーが思い浮かびました。なんとなく似てません? みなさんは他に誰か思い浮かびますか? マイケル・フランクスとか……

帽子はキー・ポイントなのだろうか

なぜ我々はフランク・ザッパだという第一印象を抱くのか。先生は、帽子をかぶっている、ということも大きなファクターではないかと考えました。しかし、数々の画像やライブ映像を見ても、常に帽子を被っているというわけではなく、帽子がトレード・マークだといえるほどではありません。それにもかかわらず、少なくとも先生には、帽子を被っているザッパの姿を簡単に思い浮かべることができます。

その理由は、いくつかの、印象的なレコード・ジャケットが存在するからではないでしょうか。たとえば、1981年の有名なアルバム、You Are What You Is(我こそつまるところ己なり)は、帽子をかぶったザッパの顔のアップが印象的です(図3)。

YouAreWhatYouIs
図3:You Are What You Is

ShutUpnPlay erGuitar
図4:Shut Up 'n Play Yer Guitar

また、同年のアルバム、Shut Shut Up 'N Play Yer Guitar(黙ってギターを弾いてくれ)でも同じような帽子を被った姿がジャケットになっています(図4)。今のように海外ミュージシャンの姿をネットで簡単に拝める時代とは違い、当時はアルバムの写真が我々の印象に大きな影響を与えたはずですから、知らず知らずのうちに、ザッパ=帽子という固定観念が作られていたとしても不思議はありません。

これらのアルバムはカミング・アップの少し後に発表されていますが、時期的には非常に近いので、ザッパがカミング・アップのビデオ制作当時に、このようなソフトフェルト(あるいはボーター?)のような帽子をすでに頻繁に着用していた可能性は否定できません。(――また余談になりますが、2009年には先生はこの点に着目し、帽子の種類やその英語での呼び名などについて徹底的に調べました。しかし、たとえば帽子図鑑のようなサイトをごらんいただければお分かりのように、帽子の種類は形状のみならず材質によっても複雑に分類されており、そのうえ同じ帽子であっても、アメリカとイギリスで呼び名が違ったり、人名がついてたりなどして複数の呼び名があるケースがほとんどであり、結局は迷宮に入り込むこととなりました。)

HotRats
図5:Hot Ratsより

しかし、ファンのあいだでは、ザッパ=帽子というイメージは、もっと以前からすでにできあがっていたようです。1969年のアルバム、Hot Ratsの内側の写真では、黒いボーラーハット(いわゆる山高帽)を被っています(図5)。この帽子はマニアのあいだでは有名らしく、同じような帽子を着用してザッパを気取るファンも少なくないようです。

ビデオでポールが着用した帽子は"黒"という色ではこの帽子と一致しますが、形としてはもっと背が低く、80年代に被っていたものに近いようです。

結局、ただ長々とザッパの帽子について羅列しただけで、まとまりのない文章になっていますが、なぜザッパに帽子というイメージが容易に浮かぶのか、一応結論らしい理由をいったんここでひねり出しておくことにしましょう。それは"ザッパは帽子がよく似合う"から(図6)、ではないでしょうか。だって、よく似合いますよね。

ザッパと帽子
図6:俺って帽子似合うだろ

ここまでの結論

  • フランク・ザッパは帽子がよく似合う

山高帽ならスラッシュだが……

スラッシュ
図7:スラッシュ

さて、ボーラーハット(いわゆる山高帽)の話が出ましたが、背の高い帽子といえばガンズ・アンド・ローゼズのギタリスト、スラッシュですよね。ヒゲは目立たないけど長髪だし。お母さんはジョン・レノンの衣装も手がけてますから、ビートルズとの因縁もあります。スラッシュだという可能性はないのでしょうか。

あるわけねえだろ。ガンズの結成って何年後よ!

いやあ、無駄にひきのばして最後まで読ませまいとしているのがみえみえですね。じゃあ逆にスラッシュはザッパの真似して山高帽かぶってるんでしょうか。この点については、過去の曖昧な記憶に基いて先生がスラッシュになりきって答えます。

知ってると思うけど、俺はツェッペリンの影響を強くうけてる。でも少なくともギターのプレイ・スタイルという点でザッパに影響うけてるってことはないね。だけど、彼の天才的な作詞能力や、何よりもそのすばらしい人間性は多くの音楽家に影響を与えたわけで、そういう意味では俺だって例外じゃねえな。

というわけで、特にザッパに関係あるわけではなさそうです。

靴はキー・ポイントなのだろうか

ザッパの靴
図8:靴が違う!

サックスの4人を眺めていますと、長髪、ヒゲ、帽子以外に、ザッパらしき人物の、他の3人と違うところが、もうひとつ見つかります。それは履いている靴です。どうやら白い靴紐の目立つ、黒いブーツのように見えます。これはザッパを意識したものなのでしょうか。

先生は初めてこのビデオを見たとき、靴紐の目立つダボッとしたブーツと、わざわざズボンの裾を少し中に入れて靴を目立たせている様子が、実にザッパらしいなあという印象を持ちました。

そこで帽子と同様に、この点についても2009年、先生は靴や靴紐の種類などについて延々と調べてみたのですが、それも迷宮入りの一因にしかなりませんでした。ザッパがどのような靴を好んで履いていたかについても、ずいぶん調べたのですが、これだというはっきりとした結果は得られていないままです。

いったい先生が靴を見てザッパらしいという印象を持った根拠はなんだったんだろう? いまだにはっきりとはわかりません。もし何かご意見のある方がおられるのならば、お知らせいただきたいと思います。どうしても先生には、このザッパらしき人物が、"one, two, buckle my shoe !" (俺の靴紐しめてくれ)* とシャウトしているように思えてならないのです。

*注:America Drinks -1967-より

なぜ4人ともサックスなのか

さて、このあたりからいよいよザッパに踏みこんでいきます。おいおい、やっとかよ、とか言ってるあなた、え? まだ読んでるんですか? まさかあなた、ザッパ・マニアじゃないでしょうね。恐ろしいザッパ・マニアからのツッコミを排除するために、わざわざ途中にスラッシュとか入れて読む気失せるほどの長文にしてるんですから、ほんとにもう読まないでくださいよ。

本題に戻ります。冒頭で述べたように、この4人はホーン・セクションではなく、サックス・セクションです。バンドのホーン・セクションといえば、ブラス(トランペット、トロンボーンなどの金管楽器)を含めることが普通だと思うのですが、なぜか全員がサックス(バリトン、アルト、ソプラノ、テナー?)を持っています。ポール自身もビデオ解説ではホーン・セクションではなくサックス・プレイヤーズと呼んでいます。

マザーズ
図9:マザーズのサックス

実は先生は、これこそザッパを意識している証拠なのではないか、と考えているのです。その理由は、フランク・ザッパのバンド、ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション(後のザ・マザーズ)が(――マルチ・プレイヤーが多くて曲ごとに楽器構成も様々ではありますが)、イアン・アンダーウッド、ジム・シェアウッド、バンク・ガードナーなどといったサックス奏者を数多く抱えていたことです。そして彼らが一斉にサックスを吹きまくる様はロック・バンドとしては特異な光景であり、とても印象に残ります(図9)。

しかもザッパらしき人物が手にしているのはバリトン・サックスのように見えます。かつてバリトン・サックスを多用したロック・バンドがマザーズ以外にあったでしょうか。

もちろん、マザーズにも金管楽器の演奏者は在籍していました。たとえば、バンクの兄であるバズ・ガードナーはトランペットやフリューゲルホルンを吹きましたし、70年代にはサル・マルケスというトランペッターがちょこっと参加しています。トロンボーンは、70年代のナポレオン・マーフィー・ブロック、ブルース・ファウラー、そして意外にも、偉大なキーボード奏者として知られるジョージ・デューク大先生が、ライブでトロンボーンを吹いています。

しかし、マザーズの、特に60年代のマザーズを支えてきたのは圧倒的にサックス・プレイヤーたちです。架空のロック・バンドを作ろうという話になって、そこにサックスだけを4人並べようなんて発想は、はっきりいってマザーズを意識していたとしか思えません。そう考えると、ザッパに扮装したのも自然なことのように思えます。

(筆者注:先生がマザーズについて言及したのは2006年12月のスモーク・オン・ザ・ウォーター問題以来のことです。おひまでしたらこちらもごらんください。)

ほんとうにザッパと確定していいのか

フランク・ザッパ
図10:フランク・ザッパ

さあ、いよいよ、フランク・ザッパであると確定していいような雰囲気になってきました。でも本当に確定していいんでしょうか。

残念ながら、先生は、フランク・ザッパである可能性を"100%"にはしないでおこうと思います。まずひとつは、ポール本人が"フランク・ザッパ"という名前をまったく口にしておらず、名前をあげなかったものについては誰の真似でもない、というようなことを言ってるからです。たしかにこのサックス・プレイヤーは、ロン・メイル役に優るとも劣らず、誰が見てもあきらかなほどフランク・ザッパにそっくりです。しかし、ならばどうしてロン・メイルについては名前をあげ、ザッパについては何も語らなかったのでしょう。あるいはロン・メイルが知る人ぞ知る存在なのに比べて、フランク・ザッパは圧倒的に有名ですから、わざわざ言わなくてもよい、と考えたのかもしれませんが。

それともうひとつだけ、とても細かいことですが、気になることがあります。ザッパといえば鼻の下の口ヒゲに加えて、下口唇の下にちょこっと生やしたヒゲ、すなわち英語でいうところの Soul patch も特徴的です(図10)。ビデオではよくわからなかったので、製作時にリンダが撮影したといわれる写真(図11)を拡大してこの点について検討してみましたが、この Soul patch については、どうやら再現していないようです。本気でザッパに扮装するのならば、そこまで凝って欲しかった、というのは、欲張り過ぎでしょうか。

リンダが撮影したザッパ役のポール
図11:リンダが撮影したと思われる写真より

それでは次節からは、これがフランク・ザッパの真似だと仮定したうえで、そこにどんな意味があるのかについて考えて行きましょう。

パロディの象徴、あるいはパロディのお返しとして

ウィー・アー・オンリー・イン・イット・フォー・ザ・マニー
図12:We're Only...

辛辣な風刺やパロディはザッパの最も得意とするところです(その本質的な議論に踏み込むつもりは全くありませんが)。中でも最も有名な例のひとつとして、サード・アルバム、We're Only in It for the Money(1968)のジャケット写真(図12)があげられます。ビートルズのアルバム、Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(1967)のパクリであることが歴然ですが、これはSgt. Pepper'sを聞いたザッパが、ファースト・アルバム Freak Out!(1966)やセカンド・アルバム Absolutely Free(1967)をパクられたと考えて、報復にうってでたものです。

報復というのが少々大げさな言い方なのは先生わかっています。これも有名な話ですが、ザッパは Sgt. Pepper's のジャケットをパクるにあたって、ご丁寧にも、あらかじめ直接ポールに電話をかけたそうです。このときの様子はザッパ自身が1969年のインタビューで語っています。

あのアルバムを作ってるとき、俺はポールと電話で話してジャケ写をパロらせてくれって頼んだ。あいつはショックを受けて愕然としてたね。電話で俺とビジネスの話かよってね。「ビジネスの話なら僕たちにはマネージャーがいるだろ」だってさ。最後には「他のメンバーにも聞いてみるよ、とは言えないな」って言われて話は終わり。それからまったくくだらねえことに約半年も棚上げされた後、結局やつらの弁護士がMGMを呼んでやっと弁護士同士で話がついたってわけさ。(拙訳)

It's all in self-defence - Zappa Wiki Jawakaより

ザッパが交渉相手としてポールを選んだのは、おそらくSgt. Pepper's のジャケットがポールの原案に基いており、そしてポールを中心に制作されたからでしょう。ポールのびっくりした様子が目に浮かび、深く印象づけられた事件であったことが伺えます。この経緯を知っていれば、ポールはカミング・アップでパロディのお返しをしたのだ、と考えるのは自然な流れでしょう(あるいはパロディにはパロディで返すというザッパの流儀に従ったという意味では、オマージュといっていいかもしれません)。それを裏付けるものとして、このWikiサイトには、ポール・マッカートニーの項に次のような一節があります。

1980年、マッカートニーはカミング・アップのビデオを制作した。何人かの有名人に扮装しているが、その中に黒い長髪でヒゲのサックスがいる。当時、多くの人がこれはザッパだと思ったが、マッカートニーはのちに否定している。(拙訳)

Paul McCartney - Zappa Wiki Jawakaより

やはり多くの人があれはザッパに違いないと自然に考えたのです。うーん、だけど、そう、ポールは誰でもないって言ってるんだよなあ。

報復といっても、ザッパはビートルズに対して怒ったり、嫌ったりしていたわけではないようです。その後、ビートルズのメンバーはもちろん、ヨーコやリンダなどとも親交を深めていくことになりますし、抱きしめたい、バースディ、アイ・アム・ザ・ウォルラス、ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ、ノルウェイの森、ストロベリー・フィールズ・フォーエバーといった曲をカヴァーしています(もっとも、皮肉としてカヴァーする場合も多々あるので必ずしも好きだったという根拠にはなりませんが)。

1984年のキャピトル誌のインタビューでは次のように述べています。

なに? ビートルズ? 嫌いじゃねえよ。まあ二、三曲は好きだしな。ちょっとばかげてるな、とは思った。何が胸糞悪いかっていうとだな、奴らの売られ方とか消費のされ方とか、そういうのが気に食わねえっていってんだよ。あれだよ、おめえ、もはやアメリカではさ、音楽で成功しようたってあんた、着るもんとか踊りとかヘアスタイルとか、そういったもんといっしょじゃなきゃ、できなくなっちゃってるんだよ。あんたらがそういったもんで着飾らないかぎり、なにも起きやしねえってことなんだよ、おめえ。(拙訳)

Classical Zappa - Zappa Wiki Jawakaより

すいません。なんか飽きてきちゃったので、 情報7daysたけし編集長の週間実は…を入れてみました。ザッパはフラワー・ムーヴメントとかヒッピーとか(ざっくりいうと髪伸ばしてドラッグでラリってラブ・アンド・ピースって叫ぶこと)が大嫌いだったようです。フラワー・ムーブメントはもともとはファッションから流行したものでしたが、その波がやがて音楽も飲み込んでいくことにザッパは危機感を感じていたのでしょう。

ラブ・アンド・ピースって叫んでりゃ戦争が無くなり平和が実現するのか? アホらしい。ほんとうに実現するための唯一の方法は、巨大産業や宗教団体や既得権益に左右されない、ほんとうに平和を実現しようと思っている人間を大統領や議員に選ぶことだけだ。ザッパの発言を読んでいくと、意外に当たり前でまともなことしか言ってないんですが、なんか奇抜な人が辛辣なこと言ってるととらえられがちです。ザッパの批判をよそに、Sgt. Pepper's はフラワー・ムーヴメントやサイケの象徴みたいな扱いを受けるようになってバカ売れですから、腹を立てたくなるのも無理はないと思います。

プラスティック・オノ・バンドへの対抗意識

ポールがカミング・アップのために結成した架空のバンドはプラスティック・マックス、これがジョン・レノンのプラスティック・オノ・バンドのパロディであることは何度も述べたとおりです。そうすると、愛と平和の人ジョン・レノンの対抗馬として、ラブ・アンド・ピースが大嫌いなザッパを配置した、と推測することができます。考えすぎでしょうか。

■ Oh No - Frank Zappa - YouTube

Oh no
I don't believe it
You say that you think you know
The meaning of love
You say love is all we need
You say
With your love you can change
All of the fools
All of the hate
I think you're probably
Out to lunch

Oh No - Zappa Wiki Jawakaより

とんでもない 俺は信じないよ
あんたは愛の意味を理解したとかいってる
「愛こそはすべて」なんていってる
自分の愛で すべての愚か者や嫌われ者を変え
たぶんあんたは頭のネジがゆるんでるんだろうよ

訳:Oh No - 音楽中心日記blogより

訳は敬意を表してAndyさんのを引用させていただきました。原文を引用したWikiサイトには、歌詞の最後に次のような解説が付け加えてあります。

Lyrically it's a satirical attack on The Beatles' song "All You Need Is Love".
歌詞はビートルズの「愛こそはすべて」へ当てつけた皮肉である(拙訳)

このままだと、やはりラブ・アンド・ピースの夢想家と、それを皮肉った行動派の対比といえます。いや、ちょっと待ってください。だがしかし、です。ジョン・レノンはその後、愛と平和の人から過激な運動家へと変貌をとげます。そして、1971年のフィルモア・イーストにおけるザッパとマザーズのコンサートに、ジョン・レノンとオノ・ヨーコがゲスト参加することになります。

■ Well!-Frank Zappa and the Mothers feat. John Lennon and Yoko Ono- Fillmore East 1971 - YouTube

ジョン、ヨーコ、ザッパ

先生はこの映像の冒頭で、ジョンとヨーコのために自らかいがいしくギターやマイクのセッティングをするザッパの姿が大好きです。その背中からは、むしろジョンとヨーコに対する愛さえ感じます。その後、極左勢力との結びつきを強めて政府から敵視されていくジョンを、民主党に近づいて大統領を狙うことになるザッパがどのように見ていたのかはよく知りませんが、少なくともこの時点ではお互いに一目をおく関係であったことは確かでしょう。

(筆者注:……と、先生がジョンとザッパの関係に興味を持ち始めたのは6年前のAndyさんにいただいたコメントがきっかけであり、このへんのくだりもその受け売りとなっています。あんたの愛は俺を救ってくれるのかい?参照)

しかーし! ジョンはしだいに平和運動への興味を失い始め、1975年にショーンが生まれてからは音楽さえも捨て、ただの主夫に成り下がってしまいます。そして、このカミング・アップが制作された1980年頃には、政治的思想までもすっかり保守化してしまい、なんと、フランク・ザッパの宿敵だった共和党のロナルド・レーガンを支持していたといううわさです。

そんなジョン・レノンに、ひょっとするとポールは、ザッパの姿を借りることで、くそったれ!もう一度出てきやがれ!と叫びたかったのかもしれません。

今回の結論

ほんとうに長々とおつきあいいただき、ありがとうざいました。ザッパに関わっているとキリがないので、今回はこのあたりで結論を出して終わりにしたいと思います。

今回の結論:左端のサックスは

  • フランク・ザッパである可能性が90%
  • 誰でもない可能性が9.9%
  • ギーザー・バトラーである可能性が0.1%
  • スラッシュである可能性が0%

それでは、次回もお楽しみね!

リファレンス

カミング・アップの謎

■カミング・アップの謎その1
■カミング・アップの謎その2:ドラム編
■カミング・アップの謎その3:キーボード編
■カミング・アップの謎その4:サックス前編
■カミング・アップの謎その5:サックス後編
■カミング・アップの謎その6:ギター前編
■カミング・アップの謎その7:ギター後編
■カミング・アップの謎その8:ベース編
■カミング・アップの謎その9:リンダ編

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