2020/01/11

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2012/01/30

ミスターロボットの記憶

午前の仕事が一段落したものの昼休みにはまだ少し早い時刻だった。
「あ、そうだ、ペンタラス……」
僕はペンタラスに文献のコピーを頼まれていたことを思い出し、彼にそれを手渡そうとした。
すると、小柄なペンタラスはまるで赤ん坊のように満面の笑を浮かべた。「ああ、例の論文だね」そして、ギリシャ人特有の濃くて彫りの深い眉目を開きながらこう言ったのだった。

ド・モ・ア・リ・ガ・ト……

「ドモアリガト? 日本語じゃないか」と僕は驚いてみせた。
「ちょ、ちょっとこっちへ来いよ」ペンタラスは周りをきょろきょろしながら僕の腕をつかみ、実験室の隅まで引っ張っていった。「スティーブに聞かれるとバカにされるからさ……」とペンタラスは顔を赤くしながら小声で言った。

「ドモアリガット ミスターロボット マータァウヒマデー♪」ペンタラスは囁くように歌ってみせた。「僕が子どもの頃に流行った歌だ。そして、僕が初めて覚えた日本語なんだ」
「プ、ププ」僕はちょっと吹き出してしまって、ニヤニヤ笑いを止められなくなった。ペンタラスは怒り出した。
「笑うなよ。僕は君より若いんだ。小学生だったんだぜ」

もちろん皆さんご存知かと思うが、この曲のことである。

■ MR. ROBOTO by 五十嵐信次郎とシルバー人材センター
Mr Roboto 五十嵐信次郎

ちょっと間違った。オリジナルはこちらである。

■ Mr. Roboto (1983) - Styx
Mr Roboto Styx

ボーカルのデニス・デ・ヤングの極端なSF主義を支持するかどうかで評価が別れる楽曲とアルバムであった。ちなみに当時すでに大人だった僕のまわりの反応は、唇で「ぷっ」と嘲笑するか、鼻先で「ふん」と息を漏らすか、喉の奥から「はあ」とため息を吐くかの、いずれかに別れていたように思う。
このPVからも、やけに力んで熱唱するデニス・デ・ヤングとは対照的に、他のメンバーからは、そこはかとなくイヤイヤ感が滲みでてしまっているように見受けられる。
「普通バンドってものはよお、音楽性の違いだかで揉めるもんだろ。ロックかロボットかで揉めるなんて世界でもうちのバンドぐらいなものだろ」と、ギターのトミー・ショウは後年語った、というのは全く僕の妄想である。

実はもう何年も前になるけど、かつてこの曲について記事を書こうと思ったことがあった。「キルロイとは何か」について書こうとしたのだ。ところが、キルロイについては、かなり奥深い解説を掲載しているウェブサイトが当時すでにあり、僕にはとてもそれ以上のことを書くアイデアが浮かばなかったのだ。

さて、話の舞台を95年に戻そう。そう、今まで言ってなかったけれど、この「記憶」シリーズの舞台は95年ごろのアメリカ中西部なのである。

「なにを話していたんだ?」
僕とペンタラスが部屋の隅でこそこそと話しているところにスティーブが戻ってきた。スティーブはペンタラスとは対照的な筋骨たくましい長身のゲルマン人である。質実剛健で、愚直に過ぎるところはあるが我が職場のリーダー的存在だ。
「あ、あのさ、スティーブは知ってる日本語ってある?」
「どうしてそんなことを聞くんだ」
「今話してたんだけど、ペンタラスが初めて覚えた日本語ってえのがさあ……」
ペンタラスが慌てて「シャラップ!」と遮るのも構わずに、僕はミスター・ロボットの話をばらしてしまった。

鼻で笑うかに思われたスティーブだったけど、その反応は意外なものだった。
「僕はあまり日本語というものを知らないけれど」
「何か知ってるんだね? 初めて知った日本語は何?」
「それは子どものときに見たテレビ番組で覚えたんだ」
「テレビ番組か。それでなんて言葉だい?」
スティーブは僕とペンタラスを順番にわざとらしく見つめ返して、十分にもったいつけてから答えた。

ジョニサコ

僕とペンタラスはしばらくのあいだ目と口をだらしなく開けたままだったと思う。
「ジョニサコだって? いったいそりゃ何だ? ほんとにそれ日本語なの?」とやっと僕が聞き返すと、スティーブは
「あれ? たぶん日本語だと思うんだけど、お前知らないのか? 日本の少年の名前だ。その少年はロボットを持っているんだ」と言った。
「ロボット?」と僕とペンタラスが同時に聞き返した。

さあ、ジョニサコとはいったい何か? スティーブ自らが熱く語るジョニサコの謎、次回ジョニサコの記憶に続く!!

おまけ:ミスター・ロボットはニコ動のほうがとっても楽しめますよ。


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2020/01/11

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コメント
私事ですが、StyxとKansasは完全に欠落しています。今なら却って偏見なく聴けるでしょうか?を以てしても「キルロイ参上」については微妙かも。「ソリトンSide-B・試験に出ない音楽史」のテクノの回で数秒流れたのが私のこの曲の理解の殆ど全てです(因みに出演していたインチキテクノキーボーディストは私です)。
  • 謂れなきアカウント凍結の憂き目を見た佐々木隆洋
  • 2012/01/30 10:46 PM
私はStyxとKansasは完全に欠落しています。今なら却って偏見なく聴けるでしょうか?を以てしても「キルロイ参上」は微妙かも。「ソリトンSide-B・試験に出ない音楽史」で数秒流れたのが私のこの曲理解の殆ど全てです(因みに出演していたインチキ・テクノ・キーボーディストは私です)。
  • 謂れなきアカウント凍結の憂き目を見た佐々木隆洋
  • 2012/01/30 10:57 PM
なんかどういうわけかその道の強者な方に反応されるんで、そのたびにこれでも結構ドキドキなわけですよ、佐々木さん。StyxとKansasは客観的には欠落してて全く支障ないバンドだと思いますが、僕は極めて個人的にモノリスだけには思い入れがあります。つーか、すごい人だったんですね。高野寛さんによろしくお伝え下さい。
  • スミルノフ教授
  • 2012/01/31 12:05 AM
友人はトミー・ショウかわいー!と夢中でしたが、 わたくしは、デニス・デ・ヤングの偏執狂っぽいところがすきでした。 でも、スティクスはブルーカラーマンが一番すきです。
  • berettaM92F
  • 2012/01/31 11:40 AM
トミー・ショウの曲ですね!
  • スミルノフ
  • 2012/01/31 4:23 PM
コメントは終了しました。

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