2011/11/08

今さら風太に会いにゆく、を今さら書く

先生は自分が生きているうちにぜひ会っておきたい動物が二頭いる。それはレッサーパンダの風太君とホッキョクグマのピースちゃんだ。

あー、風太ってあれね、「二本足で立つ」って話題になったレッサーパンダね。何年前だっけ、あれ。でもさあ、あのあと、全国のレッサーパンダが、俺も立てるよ、俺も俺も、って次々に名乗りをあげてさ、結局そもそもレッサーパンダは二本足で立つものだっていうことになったんじゃなかったっけ? そんで今じゃ風太はすっかりすねちまって、逆に二本足で立たないレッサーパンダに成り下がってるっていうじゃない。

ひどい、風太君のことをこんなふうにいうなんて、いったい誰だよ(誰だよって俺だよってか)。

2003年に生まれ、2004年に静岡の日本平動物園から千葉市動物公園にやってきた風太君。運命の2005年5月、見事な二足起立で日本のスターにまでのぼりつめた。

もう5年以上も前のことである。

風太君はその後どうしているのだろう。ブームはもともと去るものだから、いま風太君を語ることについての受け止め方は人それぞれであろう。けれども先生は、なんだかんだいって、どちらかというとマイナーだったレッサーパンダの人気を確立したという功績は、非常に大きいのではないのかな、と思っている。そして機会があればぜひお会いしたいものだと常々願っていたのだ。

その先生の願いは意外に簡単に、最近かなえられた。いまここに、そのときの経緯をレポートすることとしよう。読者諸君はもうお分かりのことと思うが(もしお分かりでなければただちにウィンドウを閉じることをおすすめする)、先生が動物園をレポートするさいには、ある決まりごとがある。それは「円山動物園」というエントリーで初めて用いた手法のことである。このときはわりと好評だったので、いい気になってその後何度も使っていたのだが、そのうちに全くウケなくなってしまった。ウケないと分かっていることをやるのは、いくら先生でもつらいんである。しかし、今さら手を引くわけにも行かない恒例行事なので、またいつものように始めることにする。

風太01
先生が風太君のいる動物園を訪ねたのは、セミの鳴き声もまだ喧しかった夏の盛りのことである。
風太02
正門をくぐると、まずセミの抜け殻が目についた。セミの抜け殻ワンダーランド。道民はセミの抜け殻が物珍しくて好きである。セミの抜け殻を探して動物の檻とは関係ない方向の茂みに入っていく中年の男がひとり。それを怪しげに横目で気にする親子連れたち。自分でいうのも恥ずかしいが、あとでフォルダをのぞいたら、半分ぐらいがセミの抜け殻の写真だった。
風太03
先生は何をしにきたんじゃ。そうじゃ、動物を見にきたんじゃった。いかんいかん。思い出したように方向を変えて歩き出した先生を迎えたのは、先生の大好きなオオヒラタシデムシであった。ここは(よく似たヒラタシデムシもいる)北海道ではないので、これは確実にオオヒラタシデムシであると断言できる。北海道にいるときのように、ちょっとまてよ、これはヒラタシデムシかな、それともオオヒラタシデムシかな(名前の違いからイメージされるほど大きさに違いはないのである)などと悩まなくてもいいのである。その悩まくてもいい、ということが先生はとても嬉しかった。そのためだけにはるばる千葉までやってきた、といっても過言ではないくらい嬉しかった。ところで、ひょっとしたら赤矢印が気になる読者がいるかと思うが、この写真のように胸部表面にやや凹凸がみられるのがオオヒラタシデムシであるという証拠である。ヒラタシデムシはもっと平坦でツルッとしている。道民あるいは来道される方には、この鑑別点をしっかりと頭に入れておくことをおすすめする。
風太04
はっ、いかんいかん。うっかり大好きなシデムシについて本一冊分ぐらい語るところじゃった。先生はいったい何をしにきたんじゃ。そうじゃ、動物を見にきたんじゃった。オオヒラタシデムシでまた時間とSDカードメモリを消費してしまったが、決意を新たにさっそく動物を見にいくぞ。パンダの親子連れとペンギンの親子連れである。円山動物園にもあったな。つーか全国にあるな。全国制覇したいな、これで。
風太05
ぜんぜん風太関係ないじゃん、とかゆーてる君、ここからが本番だよ。ほれ、鳥の群れ。普通最初はフラミンゴとかが出迎えるところが多いんだけどな。千葉はなんか緑っぽい鳥の出迎えじゃ。
風太06
じゃーん、ウサギ。つーかウサギでいいのか、これ。耳ひとつ取れちゃってるけど。まあウサギだろうなあ。しかし恒例とはいえ、こんな方向性でいいんだろうか。
風太07
じゃーん、ゾウなり。アフリカゾウかアジアゾウか微妙なところだけど、額が割れていないからきっとアフリカゾウなりね。まじつらい。
風太08
じゃーん、馬の親子ナリよ。ひひーん。つーか、せんせー最近行ったっつーのウソじゃん、だいぶ前じゃん、去年じゃん、っていう件に関してはもういいから。だからタイトルに「を今さら書く」って付け加えてあるじゃん。ね、許して。だってこの日はさあ、去年の夏だろ、風太君のことなんて先生はこれぽっちも書こうという気にはならなかったんだな。だって先生の頭の中はマイ・シャローナでいっぱいだったからね(参考)。
風太09
先生快調じゃん、というふうに見えるだろ。だけど、この動物園の恐ろしさを知ったのはこの後からだったんだな。動物以外のネタになりそうなものを探しながら歩く先生なんだけど、それがなかなか見つからない。余計なものがないんだよ、この動物園は。
風太10
そして広いんだ。歩けど歩けどもね。暑いしさ。それでだんだん体力を消耗していくんだ。恐ろしい動物園だったね。とにかく広大で、それでいてシンプルなんだ。動物園というよりは巨大な公園と呼んだほうがよさそうだったね。と、そこで思い出す。ここは動物園ではなく、動物公園だったということを。
風太12
だから、もうそろそろ本題の風太君の話にはいっていいだろ?いいだろって、最初から風太君の話をしろやって怒ってるだろ?
風太11
なんかあれだよな、
風太君とチィチィの相合傘も、
風太君の写真も、
いい感じに色褪せちまってる。
それがまた時の流れを演出してるんよ。
風太13
おお、本物のレッサーパンダを発見!
(いいのか、こんなに早く本物を出しちまって)
寝ている、寝ているぞ。
たしかに立っていない。
これが風太君だろうか?
風太14
ちょっと顔を見てみよう。あ、かわええ……。
しかし、さっきの写真とは顔が違うから、これは風太君ではないな。
なーんて写真で分かるほど先生はレッサーに詳しくないぞ。
後から考えた結果なんだけど、当時チィチィはコウタとエイタを子育て中。
ユウタ、風花、風鈴はすでに他の動物園に移動していた。
したがってこれは、風美、チイタ、クウタのうちのどれかだろう。
うーむ、一家の大黒柱である風太君はいったいどこに?
風太15
おや?
(さすがにめんどくさくなってきて一言で済ます)
風太16
おやおや?
あなたはひょっとして?
(かなり安易なオチだなと自覚しつつ)
風太17
風太君! (と、書くまでもないよな)
風太18
先生はついに風太君と対面した。
そこらへんの小学生はみんな風太君風太君と言いながらその頭をなでまくっていた。
付き添いのじいさんも風太君の頭を思わずなでてしまっていた。
いったいこれまでに何人の国民が風太君の頭をなでたことだろう。
風太君の頭はピカピカだった。(完)
風太19
さて、ここまでいったい何人がついてきているのか、先生は全く分からねえんだけども、もしついてきてるんだとしたら、かなり偉いので、先生が会った本当の風太君の写真を貼っておこう。たしかに二足起立はしなかったけど、元気に走りまわっておられたよ。(ほんとうに完)

というわけで、このエントリーは終わる。終わるけれども、少しエピローグ的なものを付け加えておこう。つーか、いよいよここから本題に入るのかもしれない。

たしかに風太君の二足起立はマスコミを賑わせた。けれども、その後すぐに、他のレッサーパンダも二足起立できることが次々と報道されることになる。例えば、風太君の祖父、安佐動物公園のロンロンも二足起立する。つまり、風太君の二足起立は祖父譲りってわけだ。

風太君のニュースの後、全国のレッサーパンダが俺も二足起立できると名乗りを上げる。例えば、先生の記憶する限りでも、長野、長崎、福岡、横浜、釧路(ただし釧路の場合は3秒間だけ)というぐあいに日本各地からそのニュースは届けられた。

今では風太君はあまり立たなくなった。むしろ現在は妻のチィチィの方が立ち時間が長いという。息子のチイタ、クウタも立つらしい。今は山口県の徳山動物園にいる娘の風花の娘(すなわち風太君の孫)も立つ。

現在秋田市大森山動物園にいる風太の息子ユウタは、立つどころかジャンプまでできるらしい(Jumping Red Panda - YouTube)。

さてこうなると、二足起立はそもそもレッサーパンダに普遍的な性質だったのではないかという話になる。おそらくあの時だって、レッサーパンダに詳しい人はそのことを知っていたのだろう。それにもかかわらず風太君はスターになった。なぜだろう。もういちど当時の一番有名な写真を見てみよう。

あんときの風太

二足起立といってもいろいろある。風太君の二足起立は、その独特の姿勢の良さが際立っていたのである。しかも立ち時間は30秒以上と長く、その立ち振る舞いにはやはり他のレッサーパンダを圧倒する雰囲気が備わっていた。先生は、風太君の胸の白い縦線がどうしてもチャック(ジッパー)に見えて、これは人が入った着ぐるみに違いないと思ったほどだった。

先生の学生時代の友達に、熱狂的なホロヴィッツ・ファンがいたのだけれど、彼は晩年のよれよれのホロヴィッツがただピアノの音を一音鳴らすだけでも何万円も出して聴きに行く価値があると言っていた。当時は変わった奴だと思ったが、かつて立ち姿で一世を風靡したけど今は立たない風太君を一目見に行った先生は、その気持が理解できるようになった気がした。


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コメント
1988年にスティービーワンダーの野外ライブコンサートに行きそりゃあ本当にすばらしかったのですが、20年後は懐メロ合唱大会になっていてがっかり。 旬、てえもんがあるなあ、と思ったもんです。 でもアリサフランクリンは今のうちにでも行きたい!
  • くじら
  • 2011/11/09 2:37 PM
いつも影ながら応援してます。風太はどこへ行ったんですかねぇ。銅像になったってことは…。無防備に寝てる写真が可愛いですな
  • フミフミ
  • 2011/11/13 10:01 AM
>くじらさん 先生も旬を過ぎたなあと、しみじみ感じている今日この頃です。最近の長文化はそのことに対する反抗だと、自己分析しています。 >フミフミさん かげながらの応援が先生は一番好きです。分かりにくくて申し訳ありませんでしたが、銅像の写真の次の写真が本物の風太の写真です。この日はちょうど帰ろうかと思ったときに運動場に出てきて、元気に走りまわっておられました。
  • スミルノフ
  • 2011/11/14 12:14 AM
コメントは終了しました。

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