2017/10/09

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2017/10/07

ほぼ日手帳2018 ジッパーズからオリジナルに戻れるか?

ほぼ日手帳を使い続けて今回で9年目に突入する。

私がここ3年間使用しているカバーは、オリジナル(バタフライストッパー)ではなく、ジッパーズだ。具体的に言うと、ほぼ日手帳2015のfog linen workのシャンブレーシアンである。

fog linen work シャンブレーシアン
シャンブレーシアン

ところが、3年も使い続けていると、私のシャンブレーシアンは手垢にまみれ、ところどころホツレも目立つようになってきた。

私のシャンブレーシアン

そこで今年は奮発して、カバーの新調を決断した。

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2015/12/31

王様の女

かみさんが大掃除をしていたら、こんな包装袋が出てきたという。

王様の女

思い出のモノとか、わりと平気で捨ててしまう私だが、じっと見つめてどうしようか考えていたら、なんとなく「ときめく!」と感じたので、とっておくことにした。

これは10年ぐらい前、私が赴任していたとある地方でチェーン展開していた店の包装袋である。車を運転していると、ときどきこの店の大きな看板を見かけることがあり、当初は、いったい何を売っている店なのだろうと疑問に思っていた。

王様の女

そうそう、この看板である。

その店は、「王様の女」という名前だった。

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2013/08/12

続々々・教授の真夏

「ど、どちらさまですか?」と書いたところで、わたしはほとほといやになっていた。いったい誰が読み続けてくれてるだろう。こんなもの、わたしだって読み返さないかもしれない。だが、そもそも読者など気にせずに自由に書きたいという望みから始めたことではなかったのか。それならば、誰が読もうが読まぬが、関係のないことではないのか。

どちらにせよ、乗ってしまった船から降りることはもはや不可能だった。読者からは自由になったのかもしれぬが、こんどは自分の文章そのものに束縛されてしまい、わたしは意に反していやいや書き続けるはめに陥っているのであった。

二人の男は刑事だった。坊主頭のオヤジが捜査一課の、ノッポの若造が所轄署の刑事だと名乗った。

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2013/08/12

続々・教授の真夏

あたりが暗くなり静けさが闇を包むころ、スポットライトを浴びて壇上にひとりのギタリストが浮かび上がった。ジェームス・タイラーから繰り出される適度にディトーションの効いたのびやかな音が、「さくら」のメロディを奏でた。

「鳥山さん……」

稔は大きな口を開けたままスクリーンを見つめていた。

二十年以上前になるが、稔は鳥山の指導を受けたことがあった。まだ学生でプロの音楽家を目指していたときのことである。当時、すでに新進気鋭の若手ギタリストとして注目を集めていた鳥山の前で、稔は自分のバンドを率いて渾身の力を出し切った。演奏し終わるとすぐに鳥山を見つめて評価を待った。だが、いつまで待っても鳥山は無表情のまま黙っていた。沈黙の時間に耐えられなくなった稔は、ついに自分から口を開いた。

「あの、どこが悪かったでしょうか……」

すると鳥山はおもむろに、「格好だね」と言った。

「はあ?」

「格好だよ。まず、そのボロボロのジーンズがいけない。どんなに良い演奏をしたって、見た目が悪けりゃ聞いてくれないよ。たとえばさ、ほら、見て、僕の」

呆然とする稔たちに向かって、鳥山は自分の赤シャツの襟や黒い革ズボンの裾を引っ張りながら続けた。

「このシャツとかさ、このパンツ、これってユキヒロさんのブティックで買ったのね。知ってる? ブリックス」

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2013/08/04

続・教授の真夏

稔(みのる)は、7月24日分のブログ更新について悩んでいた。といっても稔自身のブログではない。世界的に高名だとかいう大学教授のブログを、稔はアルバイトで代筆しているのだった。ただし、教授と名乗るその人物とは一度も会ったことがないし、その人物の本名も知らない。そもそも、その人物が本当に世界的に高名なのか、はたまた本当に大学教授なのかさえ疑わしかった。だが、そんなことは稔にはどうでもよかった。月に数回送られてくるいい加減な原稿を、適当に肉付けしてアップロードする、それだけで相当の金額が銀行口座に振り込まれるので、なにも不満はなかった。

教授の原稿にはいつも、自分のブログが他人の代筆であることを隠したいという意図が見え隠れしていた。7月24日分の原稿にも、ブログはあらかじめ書き溜めてあり、自動的にアップロードされるようプログラミングしてある、というようなことが書いてあった。自分がコンピュータに精通しているように見せかけたいのかもしれない。稔にはそれが教授のちっぽけな見栄のように思えて可笑しかった。大物感を漂わせたかったら、コンピュータ通であることを匂わせるよりも、人を雇って書かせていることを知らせてしまったほうが、よっぽど効果的なのにな、と思った。

悩んでいたのは、教授から送られてきた7月24日分の原稿がとても中途半端な内容で、肝心のことが書いていないうえに、突然尻切れトンボで終わっていたからである。これまでの連載内容から考えて、神戸で観た映画の感想が中心となるはずであったが、その原稿はなぜか神戸空港から三宮に向かったところで途切れていた。念のため何日か待ったのだが、それ以降教授からの連絡はすっかり途絶え、音信不通となってしまった。

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2013/07/24

教授、真夏の方程式で号泣す その5神戸編

真夏の方程式

鞄ひとつだけを持って神戸空港に到着した教授は、タクシーに乗った。関西には空港が多すぎるという意見もあるが、結果的に利便性の高い空港が増えるのは、利用者からすれば喜ばしいことだ、と教授は思った。三宮までは時間にしておよそ15分、おそらく3000円以内で着くはずだ。

教授はタクシーの後部座席から何度か後ろを振り向いた。追っ手はいないようだった。吉田が手荷物を探しているあいだに、こっちは手荷物をあきらめて急いで出てきたのだ。きっとうまくまいたはずだ。

教授はノートパソコンを立ちあげて、これまでの顛末を記録したファイルに吉田と遭遇したことを付け加えた。そしてサーバーにアップロードし、数週間経てば自動的にブログが更新されるようセットアップした。自分に何かが起こったときのためだ。

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2013/07/15

教授、真夏の方程式で号泣す その4再び機内編

真夏の方程式

教授は羽田空港発千歳空港行きの飛行機の中にいた。けっきょく、大宮で映画「真夏の方程式」を観ることはなかった。滞在中に原作を読み終えることができなかったからである。

飛行機が離陸したあと、教授は鞄から真夏の方程式の文庫本を取り出した。表紙を見ると、「悲しい話なんでね……」という山郎の声が蘇ってきた。本を開く前に教授は、山郎と他に何を話したのだったか思い出そうとしていた。

「最近、ブログのアクセスが減っているんですよ」と山郎は寂しそうに言った。教授は山郎のブログを高く評価していた。というか、ブログといえばほとんど山郎のブログしか見ていなかった。自分の生まれる前から現在までのあれだけ膨大な数の音楽を聴き、その批評を書ける人物を、教授は他に知らなかった。もちろん、内容が伴えばアクセスが増えるというわけではないことを、教授はよく理解していた。逆にその内容が高度になればなるほど、読者は選ばれてその数が減少していくほうが自然なのである。

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2013/07/12

教授、真夏の方程式で号泣す その3大宮編

真夏の方程式

エージェントとの約束までにはまだ時間があった。時間があるといっても映画を一本観ることができるほどではないし、そもそも原作の読了がまだであった。教授は駅の西口からすぐ見えるアルシェに向かった。このビルの5Fに、今回の特殊任務と関係の深い組織であるHMVの事務所があるからである。この事務所は先月移転したばかりで、その前はロフトにあったと聞いている。ロフトの事務所を閉鎖する際には、我らがリーダーも駆けつけて「移転するってYO!」と叫ぶなどして現場の士気を高めたと伝えられている。

アルシェに入ると、うわさどおりそこには我らがリーダーを中心とした幹部五人組の大きな写真が飾られ、本人たちのものと思われるサインと、おそらく下々の者に向けたと思われるメッセージが記されていた。
「私たちは埼玉推しです!」
それは公然の秘密ともいえるメッセージであり、誰もがうすうす気づいていたこととはいえ、これほど堂々と掲げられているのを見ると、埼玉県民以外の目に触れる可能性を全く考えていないのは油断といえるのではないだろうか、と教授は少し首をかしげた。視線を少し横にずらすと、今日が特別な日であることを伝える真っ赤なポスターが壁一面に貼られていた。

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2013/07/12

教授、真夏の方程式で号泣す その2機内編

真夏の方程式

教授は恐る恐る千歳空港の待合ロビー内に入った。そういえば昨年の松江行き、一昨年の松山行きの飛行機でも、かつて所属していた組織で見たことのある顔が同乗しており、危機感を募らせた。これ以上日本に潜伏するのも限界かもしれないとまで思ったほどである。地方都市行きの飛行機は便数が限られており、敵と同乗するはめになる確率が高くなる。できれば地方都市での特殊任務は避けたい、と教授は思った。

それに比べて羽田便は複数の航空会社が就航しており、便数も多くて安全だ。搭乗口付近まで慎重に歩を進めたが、ナターシャの姿はもう見かけなかった。どうやら別の便らしく、教授は再び遭遇する可能性は低いと考えて一安心した。

教授の手には「真夏の方程式」の文庫本があった。720円、これも必要経費で落ちるだろうか。報告書にただ「書籍」とだけ書けば、事務の目をごまかすことは容易だろう、というケチな考えが頭に浮かんだ。教授の活動資金はそろそろ底をつき始めていたのである。

椅子に腰掛けた教授は鞄の中からもう一冊の文庫本を取り出した。読みかけのレイモンド・チャンドラー「大いなる眠り」である。村上春樹の新訳が出て久しいが、教授が手にしているのは59年初版の双葉訳のほうであった。せっかくの読みかけだからまずこちらを片づけしまおうと思って、教授は「大いなる眠り」を先に読みだした。

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2013/07/12

教授、真夏の方程式で号泣す その1千歳編

真夏の方程式

「よりによってこのクソ暑いときに、もっとクソ暑いところへ行くはめになるとはな」と、スミルノフ教授はため息をついた。

おりしも梅雨は例年より早く明け、すでに関東地方では猛暑日が続いているというニュースが毎日のように報道されていた。思い出されるのは20年ほど前の今ごろ、今年のような連日の猛暑のさなか、前橋に行ったときのことである。教授はそのとき真夏でもめったに25℃以上にはならない釧路に住んでいたこともあり、35℃の屋外には5分と出ていることができなかった。街中は冷房の効いた店に一軒一軒入ることで涼みながら移動したものである。

教授の今回の特殊任務は、現在彼が協力している秘密組織「天使の眼差し」のエージェントと大宮で落ち合い、活動の進捗状況について情報交換することであった。奇しくもその日は、祝杯とともにリーダーへの忠誠を誓わなければならない、その組織にとって重要な意味を持つ特別な日であった。

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